成功する人に共通の脳のメカニズム

心理・思考・時間

【ふたつの脳は想像力が結んでいる】

知っていただきたいのは、「人生で成功する人は、まず脳内でその成功を築きあげている」ということです。

なぜ、そうなのか。

脳の仕組みについて考えていきたいと思います。

人間の脳は、古い脳と新しい脳とに分けられます。

古い脳は、いわゆる自律神経系と呼ばれるもので、呼吸や心拍など、無意識のうちに行われる体の動きを司っています。

たとえば、私たちが眠っていても心臓は休むことなく鼓動し、全身の血液を循環させています。

また、三十六から三十七度の体温を保ち、呼吸によって体の中に酸素を取り込むことができるのも、自律神経系が不眠不休ではたらくからです。

古い脳である自律神経系は基本的に、人間の意志を受けつけずに生体コントロールを行っています。

これに対して新しい脳は、ものを考えたり判断したりする、意志の部分を担当しています。

古い脳、つまり自律神経系は、二十五億年もの進化の歴史を持ち、一方、新しい脳、つまり大脳新皮質は、せいぜい五百万年ほどの歴史を持つという背景があり、そしてこのふたつの脳は、「想像力」によってつながっています。

みなさんにも、頭の中で梅干しを想像しただけで、盛んに唾液が出てしまったという経験があるのではないでしょうか。

これは、意識が引き金となって引き起こされる生体内化学反応のひとつです。

想像上の内容が物質化されて、実際に体に作用を起こしたのです。

また、過去の悲しい出来事をくよくよと考え続けたり、将来の不安や心配ばかり思い浮かべていると、たちまち顔色がすぐれなくなります。

科学的にいうと、アドレナリン系ホルモンが出て、毛細血管が縮小した状態になっています。


そして、大量の血液が筋肉に送られるため、脳内の血液が少なくなって、次第に脳の活動も低下していきます。

そのままずっと悲しい思いや不安、心配事を長く抱えていると、やがて食欲も低下し、体調を崩して胃潰瘍になる場合もあります。

反対に、楽しいことやワクワクすることばかりを考えていると、ベータエンドルフィンなどの快楽ホルモンがどんどん分泌されていきます。

これらの快楽ホルモンは、毛細血管を広げて血行をよくし、体の免疫力を高めたり、また、ストレスを発散させ恍惚状態にも似たいい気分をもたらし、脳内の神経系を介して、強い意欲と「やる気」を向上させたりします。

こうした現象は、人間に特有のものです。

新しい脳である大脳が発達していない動物には、そもそも想像力というものがありません。

ですから、過去を思い煩う犬や、未来に不安を抱いて寝込んでしまう猫など、どこを探したって一匹たりと見つけられないのです。

しかし人間は誰しも、たとえ想像上のことであっても、現実のことと同じように、ことごとく体が反応してしまうのです。

【成功シーンを思い描く】


さて、古い脳である自律神経系は、過去・現在・未来の区別がつきません。

過去の回想であれ、未来の先取りであれ、何かを意識の中に呼び起こしたとたんに、今まさにリアルタイムで体験しているかのような化学反応を体の随所に引き起こします。

自律神経系はまた、言葉における自他の人称を解しません。

自分のことを語っていても、誰かほかの人について話していても、内容にかかわらず、すべては言葉を発した当人のこととして受けとめ、それを現実化しようとします。

この法則について昔の人は、「人を呪わば穴二つ」とか「言霊」と言って経験則としてきました。

つまり、人の悪口を言ったり、失敗を望んだり、呪ったりしていると、それを口にした本人がダメージを受けてしまうということです。

悪口をさんざん言ったあとで、あたかも悪口を言われた人のような気持ちになり、重苦しい嫌悪感を持ってしまうことがよくあります。

これは、悪口がもたらす典型的なダメージのひとつです。

年中「不安だ、心配だ」「どうしよう」「困った、困った」と、口ぐせのように言っていると、その口ぐせが現実になる確率が高まります。

これは、自律神経系が「困ったことになっているのだな」と理解して、実際に困った状況をつくり出してしまうからです。

過去の失敗、苦労話、愚痴も、絶対に禁物です。

口に出すほうが楽な場合もありますが、言葉にする頻度が高くなると、必ずまた似たような失敗を繰り返すことになってしまいます。

もちろん、よいこともあります。

誰かをほめる、元気づける、幸せを祝福する、成功を讃(たた)える、そういうよい言葉を頻繁に口にしていると、自律神経系は言菓どおりの内容をそっくりそのまま、話者の人生にフィードバックしてくれます。

ですから、思ったり、口にしたりするのなら、自律神経系ならではの特性をよい方向に活用するためにも、幸福な思い出や未来の成功ビジョンにすることです。


・やりかいのある仕事に恵まれ、楽しみながら、バリバリとこなしている自分の姿

・能力や才能を開花させ、これこそ天職と思える仕事で、高い評価を得ている自分の姿

・色々な分野の優秀な人々と出会い、豊かな人脈ネットワークを築いた自分の姿

・念願の会社を興し、自社ビルの最上階に設けたペントハウスにいる自分の姿

・都心の一等地に広い庭付きの豪邸を建て、家族とともに優雅に暮らしている自分の姿

たとえば朝の三分間、そんな自分の「成功シーン」を思い描いてみてください。

頭で想像するだけでなく、具体的な言葉で表現していくと、より多くの情報を、より確実にインプットできます。

そうすることで脳内には、現実に成功へと導くための新しい回路がつくられていきます。

こうして「成功する脳」は、つくられていくのです。

↓ 参考書籍

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