オリーブオイルやナッツと同じくらい健康にとってメリットかあるのが、野菜ゃ果物です。
ここで重要なのは、果物や野菜のジュースやピューレなどの加工品ではダメだということです。
野菜は生野菜である必要はなく、ゆで野菜でも野菜のスープでも構いません。
一回冷凍した果物を解凍してもそれほど大きな変化はないだろう。
しかし、加工品になると話は変わってきます。
本書で言う「(加工されていない)野菜や果物」とはスーパーや八百屋で売っている本物の野菜や果物でありフルーツジュースやピューレなどの加工されてしまったものは含みません。
これらは加工の過程で、健康上のメリットが失われていると考えられているからです。
【野菜・果物は心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らす】
16の観察研究をまとめたメタアナリシス(複数の研究結果をまとめた研究手法)によると、1日の果物の摂取量が1単位(バナナなら1/2本、リンゴなら小玉1つ)増えるごとに、全死亡率(原因にかかわらず死亡する確率)は6%減り、野菜の摂取量が1単位(小皿1杯)増えると死亡率は5%減るとされています。
野菜や果物は食べれば食べるほど死亡率は減るものの、1日の摂取醤が5単位(約385~400g)を超えると、それ以上摂取量が増えても死亡率は変わらなくなるようです。
つまり、1日5単位食べれば健康上のメリットは十分であると言っても良いと考えられている。
心筋梗塞や脳卒中などの疾患によって死亡する確率は、野菜や果物の摂取量が1単位増えると4%下がり、糖尿病の発症率も果物をほどほどに食べている人の方が低いと報告されています。
ランダム化比較試験では、2013年に発表された、10個のランダム化比較試験を統合したメタアナリシスがあり、その結果、野菜や果物の摂取によって収縮期血圧は3. 0mmHgほど下がったものの、拡張期血圧やコレステロール値には影響がないというものでありました。
しかし、このメタアナリシスの追跡期間は3か月から1年ととても短いものであり、対象者の数も1730人と少ない研究でした。
食生活が健康にプラスの影響を与えるにはそれなりに時間がかかるため、もっと大規模で長期間にわたって追跡したランダム化比較試験が出てくるまでは、結論づけることはできないが、少なくとも観察研究のデータからは野菜や果物は心筋梗塞や脳卒中を予防する可能性は高いと考えておいても良いでしょう。
野菜や果物を食べるとがんは減るのだろうか。
実はがんの予防効果はあまり期待できないそうです。
食道がんに関してはリスクが下がる可能性が示唆されているが、あまり強くないエビデンスなので(喫煙や飲酒の影響が十分に対処されていない研究の為)、注意が必要である。
肺がん、胃がん、大腸がん、乳がんなどに関しても野菜や果物の摂取との間に関係ないと考えられています。
野菜や果物の摂取量と、がんによる死亡との間には統計的に有意な関係は認められませんでした。
【フルーツジュースは糖尿病のリスクを上ける】
2013年に当時はハーバード公衆衛生大学院の研究員であった村木功氏(現在の所屈は大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室)によって発表された英国医師会雑誌に掲載された大規模な観察研究の論文によって、果物をとっている人ほど糖尿病のリスクが低いことが明らかになっています。
この論文で興味深いのは果物の種類によってこの糖尿病の予防効果か異なってくるということである。
果物の中でも、プルーベリーやフドウを食べている人ほど、特に糖尿病のリスクが低いことがわかっている。
多くの果物は糠尿崩のリスクを下げるが、カンタロープメロン(赤肉種のマスクメロン)は逆に糖尿痛のリスクを上げることもわかりました。
血糖値にどのような影響を与えるかを見てみても、多くの果物は血糖値をほとんど上げないものの、メロンは血糖値をあげてしまうようです。
血糖値に注意しないといけない人はメロンは避けた方がよさそうである。
さらに興味深いことに、フルーツジュースを多く飲んである人ほど逆に糖尿病のリスクが高いことが分かった。
1週間あたり3単位(コップ3杯分)のフルーツジュースを摂取している人は、糖尿病のリスクが8%も高かった。
つまり、果物を食べている人ほど糖尿病のリスクが高く逆効果であるということがわかりました。
2015年に英国医師会雑誌に掲載された英国ケンブリッジ大学の今村文昭氏らが行った観察研究のメタアナリシスによると、フルーツジュースの摂取量が1日あたり1単位多い人ほど、糖尿病のリスクが7%高くなると報告されている。
コーラなどのいわゆる加糖飲料と比べるともちろん影響力は小さいものの、フルーツジュースも糖尿病のリスクを上げることは覚えておいて損はないでしょう。
市販されている「フルーツジュース」や「野菜ジュース」は「糖」の塊だと記載する書籍もあります。やはり、「加工」されたものは、私たちに飲みやすいように、アレコレ調整されているようです。
【フルーツジュースはできるだけ避ける】
なぜ果物は糖尿病のリスクを下げるのに、フルーツジュースはリスクを上げるのか疑問に思った人もいるだろう。
果物を食べれば血糖値を上げる果糖が含まれるものの、同時に血糖値の上昇を抑えてくれる食物繊維もとっていることになります。
一方で、フルーツジュースは果糖のみを摂取していることになるので(水溶性の食物繊維は含まれるが、不溶性の食物繊維の多くは加工過程で取り除かれてしまうと考えられている)、血糖値が上がって糖尿病のリスクが上昇するのではないかと考えられている。
では、糖分と食物繊維のサプリメントを一緒にとれば良いのかというとそうでもない。
そのような研究結果はなく、多くの専門家は食物繊維はサプリメントでとるよりも食事でとった方が良いと考えている。
成分で考えるのではなく、食品まるごとで考えることが、健康的な食事をするためには重要だということです。
健康を維持したいのであれば、果物はたくさんとり、フルーツジュースはできるだけ避けることをおすすめします。
【野菜ジュースより野菜を食べよう】
フルーツジュースは糖尿病のリスクを上げる。
それでは野菜ジュースはどうだろうか?
野菜ジュースに関してはエビデンスがないのでわからないというのが実情です。
成分表示のラベルを見てみて、ビューレや濃縮還元と書いてあれば、もちろん加工していない野菜と同じような健康上のメリットは期待できないでしょう。
しかし、たとえ濃縮還元でなかったとしても、野菜ジュースが健康に良い影響があるというエビデンスもありません。
フルーツジュースの例と同じように、不溶性の食物繊維の多くは野菜をジュースに加工する段階で除かれてしまっているからです。
野菜は健康に良いというエビデンスがあるのに対して、野菜ジュースには健康に良いというエビデンスはない(研究が行われていないので健康に良いのか悪いのかわかっていない)ので、健康のことを考えているのであれば、野菜ジュースではなく加工されていない野菜を積極的に摂取する方が良いだろう。
いずれにしてもフルーツジュースや野菜ジュースで果物や野菜を食べた気になってしまうのは危険である。
手軽にとれる「ジュース」ではなくて、きちんとしたエビデンスのある「加工されていない果物や野菜」を摂取するように心がけるようにしましょう。
食事で「野菜」を多く摂取するのは、日本の文化(現代の習慣的な)から見ても難しいのかもしれませんが、リスクを考えると積極的に取り入れていきたいものです。
【濃縮還元野菜ジュースに気をつけよう】
世の中の「健康」イメージは、「本当の健康」とはかなりかけ離れてしまっているようです。
よくある誤解として、市販の野菜ジュースがあります。
パックやペットボトルに入った、これだけで1日に必要な野菜が摂れますよと謳った野菜ジュース
また、コーラやサイダーなど砂糖を多く含む清涼飲料水に比べれば、安全で健康的なイメージの濃縮還元果汁100%の果物ジュース。
これらはすべて同じように健康的なイメージとは裏腹に、ほぼ果糖しか摂れない飲み物だということはご存じでしょうか?
濃縮還元とは、さまざまな方法で元々の果汁の水分を飛ばし、再び水分を加える方法を言うのですが、なぜこんなことをするのかというと、運搬の際に物資の総容積を減らして輸送コストを大幅に少なくするためです。
そして、商品になる時に水分を加えて還元されたジュースはフルーツ特有の香りが損なわれているため、必ず香料が添加されています。
また、還元の方法にはいろいろありますが、その過程で栄蓑素が破壊されていることも多く、後からビタミンを添加したりなど、もはや天然の栄養素など期待できない状態で販売されることになります。
コストを下げるために使われている野菜や果物ですから、原材料がどこで栽培されたものかわからないものもあります。
もし、大量に農薬が使われているとしたら、濃縮される際には栄養素は破壊されても残留農薬だけは確実に残ります。
実際に野菜や果物を買って食べたらすごくお金がかかるのに、野菜ジュースを飲むとたった100円程度で1日に必要な栄養素が摂れてしまう。
元々は野菜であるはずだし、その上、加工されて手がかかっているにもかかわらず、元よりも値段が安くなる。
これはどういうことなのでしょうか?
それにもうひとつ、心配があります。
それは糖質。
ショ糖が添加されていることもありますし、成分表を見ると案外炭水化物の量が多いことがよくあります。
実はこの果糖も結局は糖質ですから、野菜ジュースや果物ジュースを飲むことで血糖値は当然上昇するのです。
つまり、他の清涼飲料水とさほど変わりません。
体に良いと思って、野菜ジュースを飲みすぎて血糖値が上がりすぎてしまった人ゃ、糖尿病になった原因が野菜ジュースや果物ジュースの飲みすぎだったという人もいるくらい、一般的には「体に良いものだからいくら飲んでも大丈夫」と思われがちなところがあります。
恐ろしいことです。
そもそも果糖というとAGESの観点からいうと、白砂糖より安全と思われがちですが、実は果糖のほうがブドウ糖の10倍のスピードで糖化をし、AGESを作りやすいと言われています。
果糖はブドウ糖に比べて血糖が上がりにくく、ブドウ糖より安全というイメージかありますが、それはフルーツを生でそのまま食べた時の話。
生で食べるフルーツならば、食物繊維も同時に摂取できる上に摂る果糖の量も過剰にはなりません。
しかしジュースにしてしまうと食物繊維がなくなるどころか果糖自体の量も多くなるため、結局は急激に血糖値が上がります。
飲んではいけないとはいいませんが、市販の野菜ジュースやフルーツジュースはコーラ等の清涼飲料水と大差がないことを理解して、決して健康的ではないということを知っておくとよいでしょう。
ただし勘違いしてはいけないのは、自分でミキサーなどにかけて作ったフレッシュジュースとは全然違うということ。
自分で選んだ野菜や糖質の低い果物を使って、時間を置かずにすぐ飲んでしまえば、栄養素の破壊を心配することもありません。
とても安全で効果的な方法です。
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