「もっと」の暴走を防ぐ、幸せになる「物欲」の使い方

心理・思考・時間


【物を買うは、素晴らしい行為】

「物欲」という言葉。

物へのこだわりが強そうで、非常にネガティブな響きがあります。

しかし、私は「物欲」は悪くないと思います。

「金銭欲」より「物欲」の方が健全だからです。

お金とは「通貨」です。

つまり、「物々交換」を効果的に行う道具にすぎません。

「あなたに1億円差し上げます、ただし、その1億円は使ってはいけません」と言われてうれしいでしょうか?

まったくうれしくないはずです。

お金は、使って初めて価値が出ます。

お金を「物」や「経験」に変えることで、初めて現実的な「喜び」「楽しみ」「幸福」が発生するのです。

言われてみると当たり前ですが、多くの人は「銀行預金の残高」を増やすことに執着しています。

銀行口座の残高が増えてうれしい!もっと増やしたい。

日常生活で節約して、我慢してでも、もっと貯金を殖やそう。

「もっと、もっと」ということで、「貯金大好き病」になったら、ドーパミンの「もっともっと病」をすでに発症しているのです。

最初は「貯金100万円」で大喜びできますが、やがて「貯金300万円」でも満足できず、「貯金1000万円」でも満足できない。

これだけ汗水たらして、節約したり、我慢したりしながらお金を貯めても、ちっとも満足しないし、幸せにもなっていない。

10年、20年たってようやく気付くでしょう。

貯金なんかしないで、欲しいものを買っておけばよかった、と。

お金は使って初めて価値が出ます。

ですから、「お金を使う」「物を買う」「お金を払ってサービスを受ける」ことは、「幸せ」になるために、必要な行為なのです。

お金の使い方で、「幸福」か「不幸」かが決まります。

同様に物も買い方、使い方で「幸福」か「不幸」かが決まります。

【物欲で不幸になる人の特徴】

「物」を買うことで、人は幸せになる。

一方で、物欲に支配されて不幸になる人もたくさんいます。

その典型的な例が、「買い物依存症」です。

物欲で不幸になる人の特徴は次の4つです。

(1)みんなが持っているから買ってみた。

この場合は、「自分も所有する」ことが購入の目的ですから、買った瞬間は「うれしい!」ですが、その喜びは何日も持続しないでしょう。

(2)流行しているので、とりあえず買ってみた。

この場合は、流行している間は、「自分も流行にのっている」という満足感が得られますが、流行が終わった後に、たとえばその洋服を着ることはないはずです。

「流行」で物を買う人は、買った瞬間に目的を達成するので、その服を着たり、その本を読みもしない・・・なんとも無駄な買い物でしょう。

(3)衝動的に買ってしまった。

その服を見た瞬間に「これ欲しい!」と衝動買いしてしまう。

一度、着てみるものの、自分には全く似合っていないことに気付き。「二度と着ない」という・・・

バーゲンセールに行って、自分が好きなブランドの洋服が70%オフという超特価。

その瞬間は、「買わなきゃ、損!」と思うものの、バーゲン品なのでデザインも限られていて、「自分に本当に似合う服」ではないのに買ってしまう。

やはり、1度着たら2度と着ないパターンになります。

(4)本当に欲しい物を買っていない。

(1)~(3)の全てに当てはまることですが、自分が本当に欲しい物を買っていない、と言うことが多いのです。

「他人の価値観」「流行」「みんなが持っている」のは、あなたの「本心」とは何の関係もない。

「心から本当に欲しい物」が手に入れば、それには満足もするし、幸せにもなります。

その商品、あなたは「本当に欲しい」ですか?

【マインドフルネス物欲を利用する】

靴を磨けば、靴は長持ちします。

靴という「物」への愛着、愛情が靴磨きです。

靴や洋服、ファッションというのは、「見た目」に大きく影響を与えます。

非言語コミュニケーションの1つであり、他者とのコミュニケーションでもあります。

ぼろい靴を履いていると、「それなりの人」に見られてしまう。

ピカピカの靴を履いている人は、見た目がカッコいいだけでなく、細部まで気の届く人というポジティブな印象や「仕事ができる人」という印象を与えてくれます。

つまり、「靴磨き」によって「つながり」「交流」が促進され、オキシトシン的幸福を増やしてくれる、というわけです。

樺沢紫苑先生のオキシトシン的幸福とは・・・ ← 関連記事

「靴」ばど「物」へ感謝する気持ちのある人は、当然、人間にも感謝の気持ちを忘れないはずです。

「物を手入れる」「物を大切に使う」というのは、物への親切。

オキシトシン的幸福につながる行為と言えます。

さらに一心不乱に靴を磨く、靴磨きに没入することで、落ち着いた気分になる。

リラックスできて、気分転換になる。

靴磨きの反復動作は、「リズム運動」であり、セロトニンを活性化させているはずです。

つまり、「靴磨き」を通して、セロトニン的幸福が得られているのです。

樺沢紫苑先生のセロトニン的幸福とは・・・ ← 関連記事

「今、ここ」に集中することで、リラックスが得られる。

これこそが「マインドフルネス」であり、「物」を通じてマインドフルネスを実現していくのが「マインドフルネス物欲」です。

【最高のアウトプットは最高と思えるノートから】

「今、それを使っているだけで幸せ」。

これこそ、「マインドフルネス物欲」です(セロトニン的幸福)。

さらに、「そこにあるだけで幸せ」。

こちらは、まさしくオキシトシン的幸福なので、逓減、劣化はしません。

つまり、物を大切に使い続けるだけで幸せになれるわけですから、極めて簡単に幸せを手に入れることができるのです。

そんな「使っているだけで幸せ」と言えるような一品はありますか?

著者は一冊の「ノート」だそうです。

そのノートを使うだけで、素晴らしいアイデアが次々と生まれ、作業が効率的にでき、仕事がはかどって成功を大きく後押ししてくれるそうです(ドーパミン的幸福)。

つまり、たった一冊の「こだわりノート」を持つだけで、「3つの幸福」の全てが手に入っているそうです。

大好きな「こだわりの一品」を、あなたもぜひ見つけて見てください。

愛情・愛着に満ちた「物へのこだわり」。

その「物」を使える、今が幸せという感覚、マインドフルネス物欲的な関わりをすることで、「3つの幸福」、すべてを満たすことが可能になるのです。

【お金を3つの幸福に転化する】

お金は、持っているだけでは価値を生みません。

お金を「物」や「経験」に変えることで、今すぐドーパミン的幸福。オキシトシン的幸福。セロトニン的幸福に転換することができます。

スポーツジムの会費を払って、そこに通って定期的に運動すれば、健康が得られる。

サプリメントや健康食品を買うのも同様。

健康に投資することで、セロトニン的幸福が得られます。

彼女とおいしいレストランに行けば、「おいしい!」という喜び(ドーパミン的幸福)が得られ、彼女との関係性も深まる(オキシトシン的幸福)。

本を買って学ぶ、セミナーや講座を受講する。

学びへの自己投資は、将来の自分の成功への投資であり、ドーパミン的幸福につながります。

幸福は、ある程度は買うことができます。

「お金」を使って「3つの幸福」に転化することで、幸福のバランスを上手にとれるのです。

【本当に必要か?と自問する】

みなさん、物を買う瞬間は、「欲しい!」という衝動にとらわれていると思いますが、「その商品、本当に欲しいの?」「その商品、本当に必要?」と自問自答して欲しいのです。

購入する前の5秒で自問自答するだけで、「物欲で不幸になる」リスクをかなり減らすことができるそうです。

「本当に必要か?」詳しくいうと「自分にとって、本当に必要か?」という部分が重要になります。

たとえば、本を買う場合、「自分は何を知りたいか?」「自分は何を学びたいのか?」「自分に不足している能力や知識は何か?」という、自分の「嗜好(しこう)」「傾向」「意志」が自己洞察できていないと、他人の意見に流されてしまいます。

もっと大げさにいうと、「自分は将来何をしたいのか?」「自分はどう生きたいのか?」という「ビジョン」に対する自己洞察が出来ていないから、「自分に本当に必要な物」「自分が本当に欲しいもの」がわからなくなります。

「物買を買う」という行動に対しても、「自己洞察」が深く関係しています。

【使うことを楽しむ】

ショッピング依存症の人は、物を「買う」ことに喜びを感じます。

買い物をしている最中、買い物が終わった直後は、「高揚感」「満足感」に酔いしれますが、数日するとその喜びはほとんどなくなります。

「買う」ことを目的にする人は、買った瞬間に目的を達成してしまうので、また別の物が買いたくなるのです。

「物欲」の暴走を止めるには、あなたがその商品を買う目的は何かを考えてください。

「買う」ことが目的になってませんか?

きちんと使ってますか?

「買う」ことを目的にショッピングする人は、悪しきドーパミンが暴走し、買えば買うほど幸せから遠ざかっていきます。

「使う」ことを目的にショッピングする人は、実際にその「物」に感謝しながら、大切に、楽しみながら使うことで、オキシトシン的幸福にあふれて、幸せに向かっていくのです。

【ストレス発散で買い物をしない】

ストレス発散のために買い物をする人は多いと思います。

しかし、これは全くおすすめできません。

それは、ストレス発散のために「お酒」を飲むのとまったく同じだからです。

「お酒」を飲んでも、買い物をしても、その一瞬はストレスは緩和されるかもしれませんが、本質的な問題解決には全くつながっていません。

またすぐにストレスが溜まって、結局は「飲酒」「買い物」をしてしまう。

これがエスカレートすると依存症になります。

ストレス発散は、オキシトシン(話す・相談する)か、セロトニン(運動・睡眠・リラックスできる生活習慣)で行うべきです。

【捨てる・片づける】

服を買うときに、着なくなった服を一着捨てる。

靴を買うとき、履かなくなった靴を一足捨てる。

こんなルールを作っておけば、ショッピングの

「もっともっと病」に陥る可能性をかなり減らせます。

「物への執着」とは、「今まで満たされなかった心理欲求」を「物を買う」ことで代償している状態。

そんな心理機制が、無意識で進行しているのです。

「物への執着」を断ち切る一番いい方法は、物を捨てることです。

「物を捨てられない」と言う人も多いのですが、それは精神的な「とらわれ」です。

そこにとらわれている以上、自由になれないし、幸せにもなれないのです。

「自分にとって必要なものは何か?」と向き合い、不要な物を捨てる。

物を捨てながら、自分の心も整理する。

「片づけ」をすることで、「ドーパミン的物欲」を「オキシトシン的物欲」に転化する。

これは、究極の「幸福になる物欲の使い方」と言えるでしょう。

↓ 参考書籍

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