【レジリエンスは誤解され、オーバーワークを引き起こしている】
回復に必要な時間を取っていない。
これこそ、レジリエンスを高めて成功するための全体的な能力が著しく損なわれる原因です。
研究によれば、回復時間の不足と、疾病や事故の増加との間には直接的な相関があることが判明している。
仕事のことを考えて眠れなかったり、スマホを見ていて認知的覚醒が続いたりすることによる回復不足のせいで、米国企業の生産性は年間620億ドルも犠牲になっている。
仕事をストップしたからといって、その後の時間が疲労回復に充てられるとは限らない。
午後5時に仕事を「やめる」ことがあっても、夜も仕事上の問題の解決策を考えたり、夕食時に仕事の話をしたり、ベットの中で明日の仕事量を考えたりしている。
レジリエンスについての誤解は、子供の頃に植え付けられていることが多い。
我が子にレジリエンスを身につけて欲しいと願う親は、夜中3時まで勉強をしている子を褒めるかもしれない。
だが、これはレジリエンスの理解がねじ曲げられていると言うしかない。
レジリエンスのある子はしっかり休む、というのが正しい理解である。
疲れたままで学校に行き、認知資源の不足によって英語のテストで失敗するかもしれないし、友達と接するときに自制心が低下しているかもしれない、家に帰れば不機嫌な態度で親に接することになるでしょう。
オーバーワークと疲労は、レジリエンスの対極にあります。
そして若い時に身につけたこの悪習慣は、社会に出て働き始めると悪化の一途をたどることになるでしょう。
↑ アリアナ・ハフィントンは「スリープ・レボリューション」にてこう述べている。
「私たちは睡眠を犠牲にして生産性を高めようとしている、だが皮肉なことに、たとえ働く時間を増やしても、睡眠不足によって、労働者一人当たり年間11日分の生産性が失われている、金額にして約228ドルである」
睡眠不足がもたらす、デメリットを理解しておくと、「睡眠」に投資することができますよね。
【休息と回復は別ものである】
レジリエンスを良好に保つためのカギは、全力を注ぎ、その後に停止し、回復を図り。そして再び全力を注ぐというサイクルです。
生物学的には、健康を継続的に回復・維持しようとする脳の機能を意味する「ホメオスタシス(恒常)」という基本概念があり、特定の行為には身体にバランスをもたらし健全性を高める価値があることを「ホメオスタシス・バリュー(恒常性価値)」といいます。
働き過ぎて身体のバランスが崩れると、人はそれ以上前進するために必要なバランスを取り戻そうとして、メンタル的にも身体的にも膨大なリソースを消費することになります。
パフォーマンス領域(全力を発揮している状態)の時間が長すぎる人には、リカバリー領域(回復している状態)の時間をもっと増やさなければなりません。
低覚醒の状態にある時、そこから脱するために(休むのではなく)持てる力をかき集めてさらなる尽力をするためには、エネルギーを燃やす必要がある。
したがって、働きすぎで身体のバランスが崩れれば崩れるほど、バランスを取り戻すための活動がますます大切になります。
つまり、仕事量の多さに比例して回復期間の重要性も高まるということです。
では、どうすれば疲労を取り除き、レジリエンスを身につけることができるだろうか。
メールの返信などをしていて作業をストップすれば、脳が自然に回復して、その日の夜や翌朝にはエネルギーが復活している・・・そう思っている人が多いです。
だが、何時間もベットに横になっているのに、仕事のことを考えて眠れなかったという体験は誰にでもあるだろう。
8時間寝れば、身体はたしかに休んでいるかもしれないが、翌朝も疲れを引きずっていることがある。
なぜなら「休息」と「回復」は別ものだからです。
ただ作業をやめるだけでは回復することはならないのです。
仕事で発揮されるレジリエンスを身につけるには、適切な「就業内の回復」と「就業外回復」の時間を確保する必要があります。
「就業内回復」とは、就業している日時・場所において行う短時間のリラクゼーションのことで、進行中の仕事に必要な知的・身体的リソースの一時的な衰弱や枯渇に対応するために、定期または不定期の短い休憩を取り、その間に意識を変えたり他の作業をしたりすること。
「就業外回復」とは、就業後の自由な時間、週末、祝日、長期休暇などで行う回復のための行為です。
仕事の後、ベットで横になっていても、電話で政治の話をして熱くなったり、家の改装のことであれこれ考えてストレスを感じたりすると、脳は高度に覚醒した状態が続いてしまう。
脳にも身体と同じだけの休息が必要なのです。
真剣にレジリエンスを身につけたければ、まずは仕事から離脱を戦力的にやってみることです。
つまり、就業内回復と就業外回復の時間を確保する工夫をして、自分を強くするためのリソースを自分自身に与えるということです。
たとえば、90分ごとに休憩を取って頭を休め、リフレッシュするのも効果があるでしょう。
昼食は仕事をしているデスクで取らず、外に食べに出かける。
あるいは友達と一緒に取るようにしましょう。
その際の話の話題は、仕事以外のことが良いでしょう。
また有給休暇は完全に消化しましょう。
それは回復期間を与えてくれるだけではなく、生産性を高め、昇進の可能性をも高めてくれることでしょう。
私も「有給休暇」はほぼ消化しています。旅行したり、スノボのために取ったりしています。「自分へのご褒美」のような感じです。しっかり、リフレッシュしてまた新たに仕事に取り組む、このサイクルを身につけると気持ち的に「楽しい」感覚が出てきます。
疲れていたり、とても仕事ができる環境ではない場合は、素直に「諦めて」リラックスするようにしたり、瞑想や睡眠、映画や雑誌、楽しいポットキャストなどに充ててしまうのもありだと思います。
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