雑念排除の方法

心理・思考・時間


集中力の敵はなんでしょうか?

それは「雑念」です。

雑念を取り除くことができれば、自然に集中力は高まります。

あるいは、「雑念が排除された状態が、集中した状態」なのかもしれません。

集中力を高めて仕事を効率的にこなすことためには、「雑念の排除」が必須となります。

「雑念」は、主に4つの原因によって生じます、「物による雑念」、「思考の雑念」、「人による雑念」、「通信の雑念」です。

【物による雑念】

机の上に物が何も載ってない状態と、机の上に書類や読みかけの本や文房具類が散らかっている状態。

どちらが仕事がはかどるかは、言うまでもなく「キレイな状態」のほうが仕事ははかどります。

机や机のまわりが散らかっていると、物を探すのに時間が取られます。

ある研究によると、ビジネスマンが「「探し物」に費やす時間は、1年間で150時間にも及ぶそうです。

しかし、深刻なのは「物を探すのに時間を取られる」ことではなく、物を探すことで集中力が途切れ、高まっていた集中力がゼロに戻ってしまうことです。

いったん途切れた集中力が戻るのには、15分はかかると言われています。

つまり、1日3回探し物をするだけで、45分もの損失をすることになります。

佐藤さん

私はブロブ用の机の上は、参考書籍の飲み物以外は置かないようにしています。作業をしていると、注意がそれてタイピングや文章作成に影響を及ぼしてしまうので、「整理整頓」は心がけています。

【物の整理は、頭の整理】

流れるように仕事をすることによって、仕事効率を大幅に高めることができます。

そのため、机の上、引き出し、机まわりや書類ケース、本棚は必要なものが瞬間的に取り出せるように整理されていなければいけません。

「整理整頓」は重要なのは、それぞれの物ごとに「置く場所を決めておく」ことです。

「領収書入れ」は書類棚の一番左、ホチキスとセロハンテープは、引き出しの右手前、ホチキスやボールペンの替えの芯は、引き出しの右奥・・・などのように、必要なものを一瞬で取り出せるようにしておくべきです。

仮に「物探し」に時間を取られなかったとしても、机の上にいろいろなものが散らかっていると、そこから雑念が発生します。

読みかけの本が載っていたら、「早くこの本を読め終えないと・・・」とか、請求書の入った封筒があったら、「この請求書、まだ払っていなかった・・・」などと考えてしまい、雑念が生まれる可能性があります。

きれいな部屋で仕事をする方が集中できる、というのは心理学実験でも証明されていることなので、自身の部屋や、仕事の机まわりを整理整頓することを心がけてください。

【パソコン内がきれいな人は仕事ができる】

机の上を片づけるのも大切ですが、もう一つ、パソコン内のデスクトップやフォルダの「整理整頓」も大切です。

「あのファイルを確認しよう」と思ってから、10秒以内にファイルが開ければ合格です。

何度か検索して、30秒以上かかる状態では、集中力がリセットされてしまいます。

パソコンの整理は、ファイルを保存する瞬間に決まります。

新しいファイルを保存する場合、間違ってもディスクトップに保存してはいけません、分類されたファイルに内容が一瞬でわかる「件名」をつけて保存します。

分類されたファイルに、きちんとした件名をつけて保存するのには、10~15秒くらいかかります。

「AAA」など、適当な件名でディスクトップに保存すれば、3秒ですむかもしれませんが、しかし後から、そのファイルを探すのに、何倍も時間が取られるのです。

さらにそのとき、「探す」ことによって集中力がゼロに戻ります。

つまり、目先の数秒をケチってしまったせいで、後で何十分もの損失につながってくるのです。

さらに、ディスクトップを乱雑にした状態にしておくと、結局、あとでディスクトップの整理をしなければいけません。

またファイルが散乱した乱雑なディスクトップはパソコンの速度を低下させる原因にもなりますので、二重三重の時間のロスにつながるのです。

【思考による雑念】

仕事をしていると、様々な雑念が頭の中をよぎります。

「そういえば、今日中に出さないといけない書類があった」

「会議の予約をしないと・・・」

「メールの返信ができていない・・・」

「お腹が空いた、ランチは何にしようかな」

こうした「雑念」は、間違いなく集中力を妨げ、今やっている仕事を中断して別な仕事や作業をやりたい衝動にあなたを駆り立てるはずです。

結果として、集中力が妨げられるだけではなく、仕事が中断してしまうのです。

たった1秒の雑念が、結果として15分という時間のロスに連鎖していきます。

自然に頭の中に浮かび上がる雑念をきれいさっぱり消し去ることは不可能なように思えますが、そんなことはありません、むしろ簡単に消すことができます。

雑難のほとんどは、「予定」「や「スケジュール」であり、「やるべきこと」なのです。

ですから、それを「スケジュール帳」や「メモ」などに書き出し、目の前や机の横など、すぐに目に入るところに置いておくといいです。

「今日の予定」「次の予定」「午前中にするべき仕事」、それらが気になれば、1秒で見ることができ、「気になればみればいい」と思うと、それ以上の「雑念」は湧いてきません。

【書くだけ雑念消去法】

進行形の出来事は、脳の記憶スペースを占領するが、完了した出来事は、脳の記憶スペースからきれいサッパリ消去されます。

「そういえば、今日中に出さないといけない書類があった」とか、「今日のランチはラーメンにしようかな」という雑念が何度も浮かんでくるのは、「未完了課題」なので脳が緊張状態を維持しているからなのです。

そんな雑念を脳内から消去するにはどうしたらいいのでしょうか。

気になる事はすべて書くことがベストです。

雑念を紙に書き出せばいいのです、紙に書くことで、「進行形」が「完了形」に変わります。

「未完了課題」が「完了課題」に変わると、脳内の緊張はとれて、その雑念がすっきりと消去されます。

そして、「書いたら忘れる」を習慣にしてください、「確認すればいいや」ぐらいの感覚でいると、目の前の仕事に集中できます。

【切り替え力を高める脳のトレーニング】

紙に書き出したくらいで、雑念は消えない。

同じ考えが、何度も頭の中を反復して、雑難を振り払えない、という人がいたら注意が必要です。

雑念が振り払えないのは、前頭葉が疲れているからです。

脳の中で、考えを「切り替える」作業を行うのが前頭葉です。

特に前頭葉の中で、セロトニンという脳内物質が「切り替え」と深く関係しています。

たとえば、交通事故などで前頭葉を損傷した患者に、同じ言葉を繰り返し言い続けるという症状が出ます。

あるいは、同じ文字を書き続ける、といった症状がでることがあります。

これを神経心理学では、「保続」といいます。

前頭葉のコントロールがなくなると、同じ行為を反復して、切り替えができなくなってしまいます。

頭部外傷というのは極端な例ですが、前頭葉と「思考の継続」「思考の切り替え」が関与していることは、脳科学的には何十年も前から証明されています。

また、うつ病の患者は、不安や心配ごとが頭に浮かんだら、それが何度も何度も頭の中に湧き上がって、振り払えない状態に陥ります。

不安なことを何度も考えて余計に不安になって、気分が落ち込むということがあります。

うつ病では、前頭葉の機能が低下します。

そして、セロトニンの機能も低下します。

うつ病といった深刻な状態までいかないにしても、睡眠不足やストレスがたまっている状態でも、前頭葉の機能は低下します。

つまり、仕事中にいろいろな雑念が湧き上がって、集中して仕事に取り組めない人というのは、疲労やストレスがたまっている証拠で、前頭葉の働きが弱っている可能性が高いのです。

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【人による雑念】

集中して仕事をしているときに、横やりをを入れられると、本当にうんざりします。

ある研究によると、集中力が高まっているときに、電話や声がけによって集中力が途切れてしまった場合、その状態(集中力が高まった状態)に戻るのに約15分かかることがわかっています。

午前中の仕事時間に、2度、3度、邪魔が入ると、それが1分の用件であったとしても、集中時間的に30分、45分といった時間のロスになっているかもしれません。

目の前の仕事に完全に集中している。

その瞬間こそが、脳のスペックがそこに完全に投入され、仕事効率が最大化しているのです。

横やりの入らない「集中できる環境」があれば良いのですが、「職場」となるとそうはいきません。

ですので、先に述べたように「 切り替え力を高める 」のが必須となります。

佐藤さん

私も会社員ですが、自分の仕事に集中するために、余計な情報は入れず、タスクをひとつずつ片づけています。本書を読んでから、気持ち的にも楽ですし、効率も良くなった気がします。

【通信による雑念】

当たり前のことですが、「集中仕事」には、携帯やスマホの電源をオフにしないと意味がありません。

どんな環境でも、10分おきに携帯が鳴ったり、スマホにメールがきたり、SNSが気になったり・・・

極端ですがインターネットも遮断すると完璧です。

「別に気にならない」という人もいますが、脳は無意識に情報を処理しますので、アラートが鳴るたびに、本人は意識していなくても、集中力はリセットされます。

またスマホが近くにあるだけで、脳を妨害しつづけ、集中力を高めさせないようにしているようなものなので、スマホは集中仕事の時は近くに置かないのがベストです。

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