「私を滅ぼすに至らないすべてのことが、私を強くする」
ドイツの哲学者ニーチェの言葉です。
「部活で先輩に怒鳴られて、忍耐力がついた」「仕事で味わった苦労が転職に役にたった」といった経験は誰にでもあるはず、そんな私も数えきれないほどの経験があります。
パワハラのような理不尽な事は論外ですが「適度な苦痛」が私たちの能力を高めるの力になるのは間違いないです。
ニーチェの言葉にはアンチエイジングの仕組みにも当てはまります。
わかりやすい例は「運動」です。
運動が体に良いことは今更いうまでもなく、例えば一日15分の激しい運動エクササイズをするだけでも、心疾患の病気で死亡する確率を45%、全死亡率の30%も減らすほどの効果があります。周囲から若く見られる人ほど、生存率が高い傾向があり、肉体が健康な人は見た目も若いです。
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「ホルミシス」はギリシャ語で「刺激」を意味する言葉にちなんで名づけられた言葉。
ホルミシスという考え方は「すべての物質は、少量であれば刺激になり、適量であれば抑制し、多量であれば殺傷する」というもので多ければ有害だが、少なければ有益に働くということです。
現在でいうとコロナワクチンの接種が進んでいますが「ワクチン」は毒性の弱い病原体や抗原を体内に送り込み、人間が生まれ持つ防御システムを活性化させることで、また同じ病原体に襲われても病気にかからない体を作ります。ワクチン接種も「ホルミシス」です。
また「サウナ」もホルミシスの代表的な例です。70℃以上の高温に身をさらると、私たちの体の深部体温があがり、心拍数があがります。軽いジョギング程度で起きる変化に近く、心臓や血管の改善につながります。フィンランドの研究で心臓や血管の病気で死ぬリスクが27%減少し、週のサウナの利用回数が4~5回だった場合はさらに、死亡リスクが50%まで下がっていました。別の研究でサウナは、認知症やアルツハイマー病のリスクが65%も軽減するそうです。
「野菜」の事例も紹介します。
野菜は私たちにビタミンやミネラルをもたらすありがたい存在ですが、その一方では、人間に「苦痛」を与える働きもあります。
植物が作り出す独自の物質である「ポリフェノール」がその正体です。メディアでは「体の酸化を防ぐ働きがある」と報じられていますが、科学的には抗酸化作用だけではポリフェノールの効果をうまく説明できていません。人間と違って植物は外敵から逃げる事ができません、ほぼ10億年をかけて多様な化学物質を作り出すように進化してきました。
唐辛子の辛み成分であるカプサイシンは抗菌作用でカビの繁殖を防ぎますし、緑茶のカテキンは害虫の消化をブロックします。熟していない柿が鳥の襲撃を避けられるのも、タンニンというポリフェノールが渋味を持つおかげです。
いずれも植物が進化の過程で備えた化学兵器であり、その本質は「毒物」だと言えます。
ほぼすべてのポリフェノールは私たちに酸化ストレスを与え、体内の「炎症抑制システム」を起動させます。「炎症」とは人体が何らかのダメージを負った際に起きる反応のことで、膝を擦りむいたらジクジクと液が染み出し、頭を打ったら衝撃を受けた部分が赤くなってしばらく痛み続けます。これが炎症です。
人体のダメージを癒すべく免疫システムが働き出した証拠でケガや感染を治すために欠かせないプロセスの一つです。炎症がなければ、私たちの肉体はうまく回復しません。
一方で長引く炎症は、私たちに悪さもします。切り傷のように数週間で治る症状ならよいのですが、感染症や糖尿病などで体のダメージが慢性化すると、血管や細胞が傷つけられ、人体を内側から老化させていきます。
体を若く保つには、長期の炎症はできるだけ抑えるに越したことはありません。
「ポリフェノール」が若返りきくのは
1.ポリフェノールが体内で少量の毒として働き、体内に程度の炎症を起こす。
2.炎症に反応して人体の抑制システムが起動し、肉体のダメージを修復。
3.ダメージ修復のプロセスで、さらに肉体が若返る。
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ポリフェノールが体に小さなダメージを与えたおかげで、あなたが生まれ持つ心身の若返るシステムが働き出すわけです。
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