【意識変革はしない】
「行動を変えるためには意識を変えないとダメだ!」という主張の自己啓発本が多々あります。
しかし、「意識が変わらないと行動を変えられない」というのは間違いです。
意識を変えることは必要です。
ただ、それをじっと待っていても何も起こりません。
意識を変える前に行動するのです。
意識を変えて行動するのではなく、行動を変えることによって意識が変わるのです。
行動してみたら変化が起きたことを自覚し、「行動を起こすことに価値がある」という意識に変わるのです。
そうやって行動を継続していくと、行動変容が習慣に変わります。
意識せずに行動を変えようとしていきのです。
多くの企業は、社員の意識を変えるために、経営陣や人事責任者が意識を変えることの必要性を訴えていました。
しかし声かけだけではきっかけの一部にはなるものの、根本的に意識を変えた、その後の行動変容にはつながりませんでした。
働き方改革に成功している企業もその学びを活かし、意識を変えることよりも行動を変えることを重視しています。
半ば強制的に行動の一部だけを変えて、内省によって学びを得ます。
振り返ってよければ続ければいいですし、悪化したのであればやめるべきです。
この内省による気づきを得ることで、見えなかった部分が見えるようになっなり、また気づかなかった部分に気づくことができます。
「あ、意外とよかった!」という言葉が出れば大成功です。
この言葉を発する人の78%は自らが行った行動の意義と目的を深く理解し、腹落ちさせています。
そして自分にメリットがあると実感できれば、その行動変容を自分ごととして、その後の改善活動を継続させていこうとします。
組織全員が「働き方改革が必要」と意識が変わるまで待っていたら何年もかかります。
まず行動を起こして、そのあとに意識が変わることを知っている人は、初動が早く、率先して新たなことに挑戦していきます。
意識が変わったことを実感できると、行動を起こした自分に自信が持てるので、思考が前向きになります。
チームメンバーと一緒に行動を起こし、一緒に効果を実感します。
変化への対応力を一緒に身に付けようとする人には、自然と前向きな人が集まり、助け合うことでポジティブな連鎖が広がっていくのです。
はじめはこういった行動に対して、抵抗を示すと思われます。
しかし、内省の習慣を持っている人は、行動を変えたことによって自分にメリットがあるかどうかを判定し、意義・目的がわかればそういった行動実験を継続していきます。
ポジティブな連鎖を起こすような仕組みにすれば、組織全体が働きがいを持つことができ、結果的に生産性も上がっていくわけです。
【達成感を大切にする】
クライアント企業の社員総計16万人に対して実施したアンケートで、「幸せを感じるのはいつですか?」と間くと、一般社員の57%は「土曜日の朝」と答えていました。
ほとんどの方は、「目の前の作業に追われて、あっと間に日々が過ぎていく」と感じており、徒労感にさいなまれていました。
労働時間が長く、それが上司からの評価につながらないことも多く、稼働日は疲労感を持っています。
その状態で、土日の休日に入りますので、十分に睡眠をとれれば幸せを感じます。
平日とは違い、目覚まし時計のアラームをセットしないで済む「土曜の朝」に幸せを感じる一般杜員が多いようです。
一方、トップクラスの社員の回答を分析してみると、最も幸せを感じていたのは「金曜日の夜」でした。
ストレスいっぱいの仕事から解放されて、休日が訪れる前の日はワクワクするものです。
しかし、トップクラスの社員が感じていたのは解放感ではなく達成感であることが追加ヒアリングによって判明しました。
彼らの62%が達成感をもったときに働きがいを感じています。
仕事から解放される喜びではなく、達成と成長を目指し、それを感じられた時に幸せを感じているのです。
思うように成果が出せずに徒労感と疲労感をもつ一般社員は、それから解放された「土曜の朝」に幸せを感じ、トップクラスの社員はしっかりと目標を立ててそれを達成した「金耀の夜」に幸せを感じるのが特徴であることがわかりました。
【目標があるから達成がある】
トップクラスの社員に追加ヒアリングをすると、個々人が持つビジョンや方針が明確でした。
「同じミスを二度としない」「昨日の自分よりも今日の自分が成長していたい」というコメントが多く出てきました。
つまり彼らは、改善と成長を目指しており、それに向けて仕事をしているという感覚を持っているのです。
仕事をすること自体が目的ではなく、その仕事によって生まれた成果を重視しています。
ですから作業が終わった瞬間ではなく、その作業が成果になったときに目標に到逹し、逹成感を得るというメカニズムです。
このことを組織全体に浸透させるのであれば、自己実現という堅苦しい言葉を使うのではなく、シンプルに目的思考を徹底するのが効果的です。
その作業は何のためにやっているのか、何をもって成功とするのか、問い続けてみてください。
仕事は誰でもいやなものです、やりたい仕事に就いている人はほんの一握り。ですが、働かなければなりません。ただ、ボーッと毎日、同じように仕事をこなしていくか?目標を立てて、「達成感」を味わいながら仕事をしていくか・・・どちらが幸せで、自己成長できるかは一目瞭然です。
【トップクラス社員が目指すのは自己実現】
さらに堀り下げると、目指している欲求レベルが違うこともわかりました。
アメリカの心理学者マズローの有名な学説では、欲求レベルは5段階あり、下から順に欲求レベルが上がっていきます。
日本は発展途上国ではありませんので、心理的欲求は満たされている人が多く、「安全欲求」も多くのピジネスパーソンが満たされていると思われます。
その次の欲求レベルは「社会的欲求」で、人間関係がうまくいくことや、相手から信頼される関係になる事を望んでいます。
さらにその次の4段階目が「尊厳欲求」で、承認欲求とも言われています。
16万人を対象とした働きがい調査では、「尊厳欲求」に関する回答が最も多かったのです。
「お客様に感謝されたとき」や、「社内でありがとうと言われたとき」「上司の上司に名前で呼んでもらうこと」などに働きがいを感じるというコメントが続出しました。
この尊厳欲求は自分は努力せずに「あれして!これして!」と要求する社員も含まれます。
つまり、この「尊厳欲求」は相手あってこそ満たされる欲求ですので、相手から「承認」が、自分が期待する「承認」を下回ると、不安や不満が生まれてしまいます。
承認するのは相手ですので、自分でコントロールがしづらくストレスの原因になります。
最後の5段階目の「自己実現欲求」は、あくまでも主体が自分自身であり、自分のなりたい姿に向けて成長したい、なりたい姿に到達したいという欲求です。
どの欲求レベルが良いとか悪いとかということではなく、どの欲求を目指しているかによって行動が変わってくるということです。
トップスクスの社員はその多くが尊厳欲求(承認欲求)を超えて、自己実現欲求を目指していることがわかりました。
つまり、主体は自分であり、自分でできることと自分でできないことをしっかりと区分けして、自分でコントロールできる範囲の中でどのように自分が目指す姿に近づいていくかということを考えています。
つまり、自分でコントロールしにくい「相手からの承認」に依存することなく、自分が成長することを目指しています。
相手にどう評価されるかではなく、自分の目指すべき姿にどれぐらい近づいたかが重要なのです。
この自己実現欲求は、人手不足の中で企業として社員のモチベーションを高めていく上で不可欠な要素です。
他社へ転識する退職者を減らすため、そして優秀な人材を他社から採用するために、給与水準を高めるのが常とう手段でしたが、その効果は薄まりつつあります。
とくにトップクラスの社員は自己実現のための成長を望んでおり、また多くの社員は働きがいを欲しています。
一時的な金銭報酬ではなく、自分がその仕事を通じて成長したい、目分はその仕事をすることで自分の存在意義を感じたい、という要望が高まっています。
高い報酬を得るこどだけを働く目的にする社員は年々減っています。
自分がその仕事をやりたい、自分はその仕事をやることに価値があるというポジティブな感情が心に宿ると、市場や環境の変化を恐怖ではなく挑戦と捉えるようになります。
一時的な金銭報酬に固執するのではなく、自分が目指す姿に近づけるように目的を意識した行動をすることで、目標を達成しやすく、そして働きがいを得やすいのです。
職場でもいませんか?「承認欲求」の塊みたいな人。つい、最近まで私の上司(年下)がそうでした(笑)。私が「承認欲求」が少ないため、「即行動、即実行」派なので、どんどん仕事を一人でこなしていって、その人に仕事をさせませんでした。その人は上司のゴマすりばかりで、そのうち仕事をしないので見切りをつけられ、居場所がなくなり、退職しましたけどね(笑)。
【完成度が20%で意見をもとめる】
トップクラスの社員は空気を読みながら、適切なタイミングで他者に話しかけます。
彼らの発言で最も多いのが「今ちょっといい?」でした。
この声かけの相手は、上司や顧客も含まれていました。
トップクラスの社員は約束した締め切りまでに想定を上回るほど質の高いアウトプットをします。
そのため、過程において相手とのギャップを縮めようと必死なのです。
アンケートで「長時間労働を生み出す根源は何だと思いますか?」と聞いたところ、一般社員は「朝礼」や「定例会議」など他責にする回答が81%となり、自ら率先して改善していこうという心構えは感じにくいものでした。
一方、トップクラスの社員の回答は「失注」や「凝った資料の作成」など自分の行動を振り返る回答が69%と、一般社員よりも3倍以上であったことが特徴的でした。
トップクラスの社員の回答で最も印象的だったのは「差戻し」です。
せっかく時間をかけて作ったのに作り直しを命じられるのが無駄だと認識しているのです。
この「差戻し」は、相手との認識違いや誤解によって発生することをトップクラス社員は理解していました。
事前にしつかりと打ち合わせをした場合でも、誤解が生じることは珍しくありません。
細部を詰める前に制作物を見せておくことは重要です。
トップクラス社員は自分自身の振り返り時間を設け、さらに相手にフィードバックを得るタイミングも計画に入れていました。
顧客や上司にフィードバックをもらったら、自分のイメージが重なるように作業を続けて最終成果物を完成させます。
このように、途中の段階でも相手から意見を聞くことで、相手も試作プロセスに関わったという実感を持たせることができます。
そして、「自分の意見が作品に反映された」と感じてもらえば、それは「自分の作品」という意識が生まれます。
顧客や上司がそのような自分ごと化してくれれば、承認されやすく、一体感も生まれてよい関係が構築できます。
資料などを提出・納品した後には、相手から感想や改善点などのフィードバックを必ずもらうようにしてください。
もし、良いフィードバックしかもらえない場合は危険です。
聞き手が気を遣っていたり、関心をもっていなかったりというケースが想定されますので、PDCAサイクルを活かすフィードバックがもらえませんから、実りがないのです。
逆に「完璧すぎる」のかもしれませんが・・・(笑)
私も使う手法です。年下にわざと意見を求めて、「参加している」感を味わってもらうためです。「佐藤さんに相談されている」「佐藤さんでもわかないことがあるんだ」と思わせて、「頼りにされている」実感を感じてもらいます。そして、「佐藤さんと一緒に作った」と認識してもらいます(笑)。いい手法です!
↓ 参考書籍
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