腸内環境のために大切でありながら、私たちがなかなかできないでいること。
それは1日のなかで、消化管を休ませる時間をつくることです。
現代を生きる私たちの生活は、常に食品に囲まれています。
どこにでもあるコンビニではいつでも食べ物が手に入り、特に空腹というわけでもないのに、朝昼晩の三食以外にも、無意識に何かを口にしてしまいがちです。
昨今はリモートワークも増え、家にずっといるとついつい仕事中もおやつに手を伸ばしてしまう、という方もいらっしゃるでしょう。
不規則な生活で、深夜の夜食が欠かせない、という方も多いのではないでしょうか。
とめどなく何かを食べ、消化している現代人の食生活スタイル。
これでは消化管が休まる時間がありません。
なぜ、消化管を休める時間が必要なのでしょうか。
食後3時間ほど経つと胃は空っぼになり、腸からモチリンという物質が分泌されます。
すると、腸管全体が消化酵素や消化管ホルモンで満たされ、収縮活動を行います。
これが、翌朝のお通じにつながるのです。
こうした「腸の掃除時間」を作るためには、1日のなかで空腹の時間を作り、モチリンの分泌を促せるようにすることが重要です。
「お腹が空いた」というサインも出ないうちに、だらだらとムダに食べないこと。
そのためには、間食はなるべくせず、食べるときと食べないときのメリハリをつけることが大事です。
どうしも食事の間隔が短くなるときは、できるだけ消化のいいものを選ぶようにしましょう。
水分をとるのはOKですが、清涼飲料水やジュースなど糖分の多い飲み物ではなくできれば水やお茶にします。
夜は特に睡眠時の腸の活動のためにも、寝る3時間前までに食べ終えるか、腹六分目にしておくのが理想です。
腸のぜん動運動を促すためにも、そして自律神経のバランスを整えるためにも、朝食を摂ることが大事ですが、「朝はそんなに食べられない」という方もいらっしゃいます。
ただそれは、夕食のとり過ぎ、あるいは食べる時間が遅すぎて消化できず胃がもたれている可能性も。
そうすると、朝こはんが食べられないだけでなく、睡眠の質が下がり、自律神経のバランスも乱れる、という負のスパイラルに陥ってしまいます。
夕食は早めに終わらせて、夜ふかしはせず、消化管をしっかり休ませる時間を夜間5~6時間はとる。
難しいかもしれませんが、この生活習慣を少しずつつけていければ、腸内環境は整っていきます。
【女性の便秘と男性の下痢は、腸内細菌が発するSOS!】
食べて、消化して、吸収して、出す。
人間の一生は、その繰り返しのようなもの。
腸と腸内細菌はその作業工程のほとんどを引き受けて日々働き続けています。
そして、この「食べて、消化して、吸収して、出す」という日々の流れを崩さないことが、健康を保ち続けるためのもっとも大切なカギとなるのです。
みなさんはこの一連の流れが毎日スムーズにいっていますか?
ひょっとして、何日も便秘になっていたり、しょっちゅう下痢に悩まされたりなんてことはありませんか?
便秘や下痢は、腸内細菌のSOSのようなもの。
決して軽く見てはいけません。
ここでちょっと説明しておきましょう。
そもそも、便秘や下痢などの便通異常は、食事の乱れや生活習慣の乱れ、精神的ストレスなどが引き金となって腸内環境が悪化することで起こります。
たとえば、精神的ストレスを感じると、交感神経が緊張して腸の動きが悪くなります。
すると、善玉菌が滅って悪玉菌が増えてくるようになり、腸内細菌の働きが全体に落ちて、便をつくる機能が低下してくるのです。
これによって引き起こされるのが便秘や下痢。
この際、女性の場合は便秘になりやすくなり、男性の場合は下痢になりやすくなります。
便秘と下痢に分かれるのはホルモンも関わっています。
女性ホルモンには便を固める作用があり、男性ホルモンには便をゆるくする作用があります。
これにより、女性は便がカチカチに固まって詰まりやすくなり、男性は便がゆるくなって下りやすくなるのです。
要するに、便の状態は正反対に分かれますが、便秘も下痢も異常を起こすもともとの原因は一緒なのです。
そして、こうした便通異常が何日も続くと、腸内細菌がどんどん少なくなって、腸内フローラという「健康工場」がまともに機能しないような状態になっていってしまうのです。
便秘の場合、出るはずの〇ンコが出ないということは、腸の内部に蓄積しているということ。
便秘の人の腸内では、水分が抜けて小さく固まった〇ンコがたまっています。
その成分は、ほぼ半分が腸内細菌の死骸で、しかも、その「死骸の山」から腐敗物質があふれ出してくるのです。
もし工場内がそんな劣悪な環境だったら、腸内細菌作業員はとても働くどころではなくなってしまいます。
あたりには腐敗物が充満していて、作業員たちはほとんど窒息寸前のような状況でしょう。
当然ながら、工場内の多くの機能は滞ってしまうことになります。
つまり、便秘というのは、腸内フローラという工場の環境が悪化して、ほとんどの機能が停滞してしまっている状態なのです。
こういう状態が続くと、腸内細菌作業員の数が滅る一方となり、健康という商品を生産する力が落ち、さらに環境が悪化して、どんどん悪循環にハマっていってしまいます。
そして、こうした工場の生産力低下は、てきめんに体の不調につながっていきます。
腸内現境が悪化すると、ビタミンやホルモンをつくる機能も低下することになりますから、ビタミンB群や、ビタミンCなどが不足しがちになり、肌が荒れたり、疲れがたまったり、口内炎ができたりといった不調が現れるようになります。
また、腸内にたまった腐敗物の毒素は、腸から吸収されて血液中に入り、血流に乗って体のあちこちにばら撒かれます。
こうした腐敗毒素が各臓器に入ると、内臓の機能が低下して病気を引き起こすような事態へとつながっていきます。
なお、下痢の場合も、腸内細菌がろくに働けないような環境となるのは変わりありません。
下痢というのは、腸内細菌が働く暇も与えられずに流されてしまっているような状況です。
たとえば、生まれて間もない腸内細菌たちが「さあ、がんばるぞー」と仕事をし始めたのにもかかわらず、作業半ばで洪水に遭って流されてしまうような状況を想像してください。
いつもそうやって流されてしまっているとすれば、工場内の仕事ははかどらず、ろくに生産性が上がらない事態になってきます。
消化も、吸収も、ビタミンを合成する仕事も、ほとんどの作業が中途半端で放り出されてしまうことになります。
下痢ばかりしていると、てきめんに体力が落ちるのです。
腸内細菌が流されるというような事態が続くと、腸内細菌の数も減っていくばかり。
便秘の場合と同じように、作業員の数が減るに従い、工場の生産性がじわじわと落ちていきます。
こうした悪循環が長引けば、食べ物から十分な栄養やエネルギーを得ることができなくなって、どんどん体力が失われていってしまいます。
おそらく、みなさんのなかにも便秘や下痢でお悩みの方が少なくないと思います。
わたしたちの腸内細菌は、わりと頻繁に増えたり減ったりしていて、たまにおなかの調子を崩しただけで10分の1くらいに滅ってしまうこともあります。
何日も便秘や下痢が続くと、当然10分の1どころでは済まないでしょう。
かなり腸内細菌が減ってしまっていると考えざるを得ません。
先にも述べたように、腸内細菌の数が減ると、同時に免疫力も落ちて、さまざまな病気にかかりやすくなります。
ですから、慢性的に便秘や下痢に悩まされている人は、それだけほかの病気にも悩まされやすくなるのです。
便秘や下痢は腸内細菌のSOSです。
詰まったり下ったりするのは、さまざまな面で「健康が危機にさらされている」というサイン。
決して甘く見て放っていてはいけません。
では、どうすれば治せるのか。
その答えは簡単です。
食生活を改善し、食品添加物を避け、生活習慣を整え、ストレスを解消し、ゆったりと行動して、1年365日、「腸にいいこと」だけをしていけばいいのです。
食べて、消化して、吸収して、出す・・・その1日1日の腸のリズムは、健康のリズムであり、わたしたちの生きるリズムでもあるのです。
みなさん‘便秘や下痢でそのリズムを狂わせてはいけません。
ぜひ、日々の腸のリズムを整えて、腸内細菌をたくさん増やし、毎日立派な〇ンコを出しましょう。
「腸」の体調は、「肌」にも影響を与えています。女性の方は特に「便秘」に悩む方が多いと思います。「美」や「健康」を意識するなら、高い化粧品や簡単ダイエットなどの根拠のないモノにお金を使うのではなく、「腸」にいい食事を意識した方が良いと思います。
↓ 参考書籍
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