睡眠改善のために、「認知(物事のとらえ方、考え方)」を変えていきましょう。
「あなたは睡眠についてどのようにとらえているか?」
「睡眠に対する不安や思い込みはないか?」
といった点を掘り下げ、脳の解釈や認識の側面から睡眠にアプローチするのです。
「環境」や「行動」に比べてわかりづらいかもしれませんが、たとえば「決まった時間に寝ましょう」や「寝具は睡眠のためだけに使いましょう」のようなアドバイスが効果的なのは、あなたの脳に「この時間は必ず眠るべきだ」「寝具は寝るための道具だ」と教え込む働きがあるからです。
逆にいつもバラバラの時間に寝床に入ったり布団の上で勉強やゲームをしていると、脳は「いつどこで眠ればいいかわからない!」とパニックを起こし、本当に寝たいタイミングでも全身を覚醒させます。
寝つきが悪い人が認知を改善した場合、その効果は一般的な睡眠薬と変わらないと報告されていて、副作用もありません。
いったん認知が変われば効果は半永久的に続くというのだから試さない手はないでしょう。
【ボディスキャン瞑想でリラックス効果を高める】
ボディスキャンは、自分の身体の各部に意識を向けながら行う瞑想法の一種です。
「不安」や「ストレス」への効果が何度も確認された手法で、10分のボディスキャンを実践したヘビースモーカーの禁煙の成功率が高まったり、健康な男女の血圧や心拍数が大幅に低下したとのデータが公表されています。
仕事の不安やストレスで眠れないような人は、就寝前の数分を使って実践してみてください。実際に試すとわかりますが、ボディスキャン瞑想はとてもリラックス効果が高く、実践の最中に寝落ちするケースも珍しくありません。
具体的には次のように行います。
①寝床の上に横たわって目を閉じ、まずは自分の体の重みに意識を向けます。寝床と背中がくっついているところに集中し、その感覚を味わっていきます。
②深く息を吸って呼吸の感覚を意識したら、今度は深く息を吐きながら身体がリラックスする感覚を意識します。
③今度は足に意識を向け、寝床と足がくっついているところを意識する。(重さ、圧迫感、体温など)
④背中に意識を向け、寝床と背中がくっついているところを意識する。
⑤腹部に意識を向けて、どのような感覚があるかをチェック。もし緊張が感じられたら深呼吸を行い、凝り固まった部分をリラックスさせる。
⑥同じように、手→腕→首→顎→顔全体の順に意識を向けて、各エリアにどのような感覚があるかをチェック。もし緊張が感じられたら深呼吸を行い、凝り固まった部分をリラックスさせる。
⑦最後に全身を意識しながら深呼吸し、落ち着いたら目を開く(そのまま眠っても問題ありません)
人体の各部に意識を向ける時間は好きに決めて構いませんが、慣れないうちは特定のパーツに10秒ぐらいかけるところから始めて、少しずつ時間を延ばしてください。
さらに慣れてきたら、時間を延ばすだけではなく、意識するパーツをより細かくしてみましょう。
顔全体だけではなく、鼻、右目、左目、くちびるのように、さらに肉体を分割して意識を向けていくイメージです。
もし「身体のパーツに意識を向ける」感覚がわかなかったら、客観的に自分の身体のパーツを観察するようにしてください。
トレーニング中は「明日の予定」や「過去の嫌な記憶」などのいろいろな思考が脳内に浮かぶでしょうが、ごく普通の状態なので気にしなくて構いません。
雑念が浮かんで来たら、淡々と体のパーツに意識をもどす作業を繰り返してください。
複数の実験によれば、2~4週間後ほどトレーニングを続けると、脳に身体がリラックスする感覚がすり込まれ、寝床に入っただけで深い眠りに入りやすくなります。実践の目安は1日20~45分ずつ、週に3~6回を目指しましょう。
ノイズキャンセリングのイヤホンは実際に私が購入し、今回の「ボディスキャン」や「瞑想」時に使用しています。室内や車内(停止中)で使用しています。初めてのノイキャンですが、YouTuberの方々がおすすめしていることもあり、コスパも性能も申し分なかったです。
【ブレインダンプで心配事をリセットする】
寝る前に「やるべき仕事」が頭をよぎり、眠れなくなってしまった経験はないでしょうか?未完成のタスクが気になり、いつまでも目が冴えてしまうパターンです。
そんな問題を解決すべく行うと良いのが「ブレインダンプ」です。
「ちょっと気にかかること」や「未来にすべきこと」を紙に書き出す手法で、直訳すれば「脳の投げ捨て」といった意味合いで、頭の中にたまっていく心配の種を外部に吐き出すのが大きなポイント。
未完成、未消化のタスクを書き出すことで心配と不安が追い出され、あたかも「重荷を下ろした」ような感覚が生まれます。おかげで脳の興奮がおさまり、いつもより安心して眠れるようになります。
寝床に入って10分以内に眠りにつけない人は、寝る30分~1時間前にブレインダンプを試してください。いつもより入浴時間が早くなるはずです。
【睡眠日記を書く】
認知系のテクニックでもっとも効果が高いのが「睡眠日記」です。毎晩の就寝時間や起床時間を記録に残す手法で、長らく認知行動療法の世界で使われてきた由緒ある技法です。
効果を示したデータも多く、睡眠にお悩みの方なら試して損はありません。
〇朝起きてから行う記録
・寝床に入った時間
・起床した時間
・トータルの睡眠時間
・夜間に起きた回数
〇寝る前に行う記録
・カフェインの入った飲料を飲んだ回数
・最後にカフェインを摂取した時間
・最後に運動をした時間
・眠りにつく1時間前にやっていた行動
だいたい2週間ほどのデータがたまったあたりから、あなたの睡眠には変化が現れるはずです。
「寝る1時間前にスマホを見ただけでも夜間の覚醒が増えるな・・・」や「10分運動をしただけでも嗣明時間が延びるな・・・」といった事実を少しずつ脳が記憶し、自動的に対策を取ろうと働き始めるからです。「睡眠日記」は家計簿のようなものと考えてもらえれば良いです。
【人生の意味について考える】
ぐっすり眠るための手法として、「人生の意味」について考えたことのある人は、まずいないでしょう。「私はこの人生で何を成し遂げたいのか?」「自分は何のために生きているのか?」といった哲学的な思考は、睡眠の質となんの関係もなさそうに思えるはずです。
しかし、実際は「人生の意味」が私たちの睡眠を大きく左右する事実が分かってきました。
大学の調査で、被験者に「人生における目的」を「過去に自分がしたことや未来にしたいことを考えるといい気分になりますか?」や「あてもなく人生を生きる人もいるが、自分は違うと感じますか?」などの質問で判定して、自らの人生になんらかのゴールを持ち、生きる意義を感じながら暮らしているかどうか調べました。
すべてのデータをまとめたところ、人生に意味を感じている人ほど睡眠の質が高く、無呼吸症候群のリスクも低かったのです。人生の目的がはっきりした人は、ライフスタイルも良好であるケースが多く、結果として睡眠の質が改善されているからです。
いきなり「人生の意味を考えよう」と言われても困る人がほとんどだと思いますから、まずは「自分にとって良い睡眠とは何を意味するか?」を掘り下げていくといいでしょう。
試しに次の質問について考えてみてください。
・なぜ私はもっと眠りたいのだろうか?睡眠不足による不調を避けたいと考えたり、気分を悪化させたくないと思うのはなぜだろうか?
・十分な睡眠をとれて頭が完全にクリアなとき、あなたはどのような人間として行動したいでしょうか?何を達成したいと思うのでしょうか?
・どのように眠れたときに、あなたは最高のパフォーマンスを発揮できると思いますか?
絶対の正解は存在しないので、あなたにとって一番しっくりくる答えを探してみましょう。何度も考えるうちに、だんだんと睡眠の質が上がっていくはずです。
正直、「ボディスキャン瞑想」以外は試してはいませんが、科学的根拠があるものを鈴木祐さんはおすすめしているはずです。「睡眠」の悩みがある方は、実践してみる事をおすすめします。
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