【違う自分を演出できる制服の効果】
制服には、その職業が持つイメージを連想させる効果があります。
看護士の服を着ていれば「優しい人」「頼れる人」というイメージを与え、警察官の制服は「規律正しい人」「正義を守る人」を連想させます。
そして制服を着ている人もまた、そのイメージに合った行動をとろうとします。
普段はギャル語を使う女子高生も、ファストフード店の制服を着て接客をすると、笑顔でマニュアル通りの挨拶ができるもの。
これも制服の効果です。
制服は、個性を隠すことにもつながります。
家庭では末っ子の甘えん坊が、白衣を着ると優しく頼りになる人に変わる。
これは、制服が甘えん坊という個性を消しているのです。
制服を好んで着るような人はイメージ通りに自分を演出すること、つまり素の自分を出さないことを望んでいるとも考えられます。
警察官や消防官などの制服には、権威主義的な面もあります。
普段の自分は顧みられることはなくても、権威を示す制服を着ると周りが敬意を払ってくれ、指示に従ってくれる。
これなどは制服の力を借りた演出といえるでしょう。
【派手なファッションを好むのは、実は内気な人?】
サラリーマンやOLは、ファッション関係やクリエイティブな職業などでない限り仕事服には暗黙の制限があります。
リクルート活動をする学生が、判で押したように黒やグレーのスーツを着るのはそのため。
しかし、私服となると個性的な装いをする人が少なからずいます。
一般的に、派手なファッションを好む人は自己顕示欲の強い目立ちたがり屋というイメージを持たれがちです。
でも心理学では、「もっと注目してほしい」「明るく、元気な人間だと思われたい」という願望がある人と考えます。
というのも、服や持ち物は性格を表現するものではないからです。
自分を演出するための道具で、ファッションは「なりたい自分」や「見せたい自分」を表わしています。
これは本当の姿の裏返しとされ、派手なファッションに身を他む人は、実は内向的で対人関係に不安を感じているので、服装で「賑やかで社交的」な理想の自分を見せているのです。
普段は普通の服装の人が、あるとき派手な格好をしていたら、いつもとは違う自分を演出しようとしています。
冒険心旺盛で、突飛な行動に走ることもあります。
また「おばさんは派手好き」と言われますが、これは老いていくことへの不安や寂しさの裏返しで、派手な服でまだ若い自分を演出しようとしているのです。
【意外にあなどれないスーツの影響力】
サラリーマンの制服、スーツにも同じような力があります。
信号が青に変わる前に横断歩道を渡り始める実験を行なったところ、実験者がスーツを着ていると多くの人が一緒に渡り、ジーンズにジャンパーなどカジュアルな服装だとつられて渡る人がいないという結果になったそうです。
スーツを着ている人はきちんとした社会人であり、そういう人が渡るなら自分も渡って大丈夫だろうと判断したのでしょう。
スーツの見えない力を改めて思い知らされます。
カジュアルな格好がふさわしいシーンやプライベートタイムでもスーツを着る人は、自分の力を周りに示したい「権威主義者」ととらえることもできそうです。
↓ 参考書籍
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