【美肌の鍵は細菌!】 皮膚に棲む細菌の驚くべきパワー

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美肌のカギは「細菌」が握っています。

そんなふうにいうと、清潔好きの方のなかには眉をひそめる人もいらっしゃるかもしれませんね。

でも、事実なのです。

肌の老化進行に腸内細菌が関係しているため、美肌のためにがんばってくれているのは腸内細菌だけではありません。

わたしたちの皮膚に棲んでいる「皮膚常在菌」も、肌のコンディションキープのために欠かせない働きをしています。

皮膚常在菌には、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、アクネ菌など、約10種。

これらの菌たちは、皮膚表面の脂肪を食べて脂肪酸の膜(皮脂膜)をつくり、皮膚を弱酸性に保っています。

これにより、皮膚にとりつこうとする病原菌をシャットアウトしてくれているわけです。

この皮膚常在菌がつくり出す皮脂膜は、いってみれば「天然のクリーム」のようなものなのです。


皮脂膜は、肌を乾燥から防ぎ、肌のうるおいや柔軟性を保つ働きをしています。

肌の保湿がキープされているのは、ひとえに皮脂膜というクリームのおかげ。

しっとりとしてうるおいのある肌は、皮膚常在菌たちがつくるクリームによってつくり出されているといってもいいでしょう。

ところが、清潔好きの女性の多くは、このクリームを洗い流してしまっているのです。

石鹸で洗ってしまうと皮膚常在菌の90バーセントが失われてしまいます。

石鹸でごしごし洗いでもすれば、皮脂膜も簡単に壊れてしまいます。

しかも、いったん壊れてしまうと、なかなか元に戻りません。

皮膚常在菌が元の状態に戻るには、若い人でも12時間、年をとってくれば20時間もかかるとされています。

皮脂膜が壊れてしまうと、その下にある角質層がもろくはがれやすい状態になり、水分が失われて肌がカサカサになります。

美肌メンテナンス ー 保湿 ← 参考記事


また、皮脂膜の崩壊は、皮膚のバリア機能が消失してしまったようなもの。

雑菌が繁殖して肌荒れやニキビ、吹き出物などのトラブルを起こしやすくなります。

また、病原菌も付着しやすくなり、インフルエンザやアレルギー性皮膚炎になりやすくなります。

つまり、いつも洗顔石鹸やボディソープなどで顔や体を丹念に洗っている人は、かえって肌のコンディションを悪くしてしまっているのです。

皮膚常在歯の力を落とすほど洗ってはいけません。

お風呂で体を洗う場合、石鹸で洗うのは2日か3日に1回にするといいでしょう。

しかも、軽く泡立てて、サッと流してしまうくらいで十分。

ごしごし洗うのは禁物と心得るようにしてください。

美肌メンテナンス ー クレンジング ← 参考記事

なお、女性の場合、腔のなかにも常在菌がいます。

デーデルライン桿菌(かんきん)という乳酸菌の仲間が棲んでいて、腔内を酸性に保ち、雑菌から守ってくれているのです。

デーデルライン梓菌は、腔内の環境維持に大切な役割を果たしてくれているのです。


ただ、こちらの場合も、せっかくの菌を洗い流す女性が増えています。

最近は温水洗浄便座トイレが増えてきたため、ビデを使って洗い流してしまっているのです。

デーデルライン梓菌が流されてしまうと、腟内が中性になって、雑菌が繁殖してしまいます。

すると、おりものが増えてきて、トリコモナス腔炎やカンジダ腟炎などにかかりやすくなります。

ですから、肌だけでなく、腟も洗い過ぎは禁物なのです。

わたしたちの体に常在している細菌のバリアをないがしろにしていると、いずれ大きなしっぺ返しを食らうことになります。

近年、「腸内洗浄」などといって、腸内を洗い流すような健康法が行われているようですが、これは絶対にやってはいけません。

腸内を洗浄すれば、腸内細菌もすべて洗い流されてしまいます。

これまでも見てきたように、腸内細菌はわたしたちの健康を守るために働いている大切なパートナーです。

その大切なパートナーを洗い流してしまうなんて、とんでもないことです。

免疫力もガタ落ちになり、健康面や美容面で多くのトラプルに見舞われるのは目に見えています。

わたしは、人の体は常在菌たちとシェアする共有物だと思っています。

わたしたちの体にはいろいろなところにいろいろな常在菌が棲んでいます。

大切なのは腸内フローラだけではありません。

皮膚に棲む常在菌もフローラをつくっているし、腟には腔内フローラ、鼻の穴には鼻内フローラがあるのです。

そのフローラは常在菌たちの棲みかであり、わたしたちは、その棲みかを何の断りもなく洗い流してしまうようなことをしてはいけないのです。

常在菌たちはみんな、自分たちの棲む環境を少しでもよくしていこうと力を尽くしてくれています。

みんなバリアを張って、よそ者の悪い菌が寄りつかないようにしてくれています。

清潔過ぎる生活習慣は、こういった常在菌たちの働きを無にしてしまうのです。

わたしたちにできることは、常在菌が「生活」しやすいように、体という共有物をなるべく自然のままに維持していくことなのです。

【腸のトラブルは、すべて肌のトラブルに結びついている】

著者は、腸内フローラは「健康をつくる工場」であると同時に「キレイをつくる工場」でもあると思っています。

女性の美しさや輝きは、腸から生み出されているのです。

たぶん、女性のみなさんは経験的におわかりのことでしょう。

「便秘をすると、てきめんに肌が荒れる」とか「おなかの調子が悪いとお化粧のノリも悪くなる」と感じている方も多いはず。

そういえば、女性誌などでも、たまに「腸内美容のコツ」とか「腸から美肌をつくる」といった特集記事を組んでいるのを見かけます。


そもそも、腸と肌とは、同じルーツを持つ「親戚」のような間柄です。

発生学的に見ても、腸と肌は同じ外胚葉(がいはいよう)から生まれています。

分裂を繰り返した受精卵はしばらくするとちくわのような筒状になるのですが、ちくわの外側に形成されていくのが肌であり、ちくわの内側に形成されるのが腸なのです。

だから、腸は「内なる肌」のような存在だということになります。

さらに、この両者は機能的にも似た働きをしています。

たとえば、粘膜層に細菌を棲まわせてバリアをしている点、表面の細胞をさかんにターンオーバーさせて新陳代謝をしている点、病原菌などの外敵を防ぐ免疫機能を備えている点などが共通項として挙げられます。

つまり、腸も肌も「外界」に接していて、外部の危険因子からわたしたちの内部組織を守ってくれているわけですね。

こういった共通する機能を備えているせいか、腸と肌とは互いに呼応し合うょうな反応を示します。

すなわち、腸の内壁が荒れてくれば肌も荒れてくるし、腸の内壁のコンディションがよくなってくると肌のコンディションもよくなってくるといったように、逐一、状態が連動するのです。

腸が荒れると肌も荒れてくる原因のひとつは、ビタミンの生産が滞るからです。

先にも述べたように、腸内細菌はビタミンB群、ビタミンKを生産しており、ビタミンCの生成に関わる酵素などもつくっています。

便秘や下痢をしたり悪玉菌が増えてきたりして腸内環境が悪化してくると、こうしたビタミンをつくる力がガクンと落ちてしまい、ビタミン不足が肌に悪影響をもたらすことになるのです。

具体例を挙げれば、ビタミンB群が不足すると肌の脂質代謝力が落ちて、ニキビや肌荒れ、皮膚炎などを起こしやすくなります。

同時に、肌細胞がターンオーバーをする力も落ちて、肌全体に活力がなくなってきますしさらに、粘膜の力も衰えるため、口内炎や口角炎などの炎症も起こりやすくなります。

また、ビタミンⅭが不足すると、コラーゲンを生成する力が衰えてくるほか、活性酸素に抵抗する力が落ちて、シワ、しみ、くすみなど、肌の老化が進みやすくなります。

とにかく、腸という「内なる肌」のトラブルは、すべて肌トラブルに結びついていくと考えたほうがいいでしょう。

食べ過ぎて腸の消化機能が衰えれば、肌のほうの元気もなくなってきますし、肉ばかり食べて悪玉菌が多くなれば、肌のほうも荒れてきます。

最悪なのは便秘です。

便秘は肌をさんざんいじめて弱らせているようなもの。

何日も続けば、肌はボロボロになってしまうでしょう。

逆に、腸を整えれば、肌は元気を盛り返します。

繰り返しますが、腸は「キレイをつくる工場」です。

肌のコンディションをよくしていきたいのであれば、まずはこの工場のコンディションをよくしなくてはなりません。

食物繊維や発酵食品をたっぷり摂り、生活のリズムを整え、ストレスを解消する。

そういうふうに、腸がよろこぶ毎日を送っていけば、エ揚の「キレイをつくる生産力」が上がって、肌の調子もみるみる改善していくことでしょう。

佐藤さん
佐藤さん

「腸内環境」を意識的に整えることで、お肌のトラブルも改善できる・・・高い化粧品を買うより、健康面から「美」にアプローチする方が良いのではないでしょうか。女性に限らず、男性も「健康的」でないと女性から振り向いてもらいませんよ。

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