【健康に良い炭水化物と、健康に悪い炭水化物】
巷では「糖質制限ダイエット」や「低炭水化物ダイエット」が流行っています。
エネルギーとなる成分は大きく分けて、たんぱく質、脂質、炭水化物の3つに分けられるのだが、これらのダイエット法に共通しているのは、「炭水化物」の摂取量を減らして、代わりにたんぱく質や脂質の摂取量をやや多めにするということです。
しかし、この炭水化物なら何でも減らすべきという考えは間違いです。
炭水化物には、「健康に良い炭水化物」と「健康に悪い炭水化物」があるからです。
私たちにとって最も身近な炭水化物は、白米や小麦粉であり、これらは精製された炭水化物です。
このように精製して柔らかくて食べやすい形にすることを(白っぽくなるため)「精白」すると表現し、米であれば「精米」すると呼びます。
そして、「白い炭水化物」は、血糖値を上げ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気が起こるリスクを高める可能性があることが、数多くの研究から報告されています。
その一方で、玄米のように、精製されていない「茶色い炭水化物」の多くは食物繊維や栄養成分を豊富に含み、肥満や動脈硬化のリスクをむしろ下げると言われています。
つまり、全ての炭水化物が悪者なのではなく、どんな炭水化物を食べるかで健康に関しては逆の効果があるのだ。
「健康に良い炭水化物」と「健康に悪い炭水化物」の区別は、炭水化物の加工度や食物繊維含有量に関係しています。
これに対して、自然な形で存在する炭水化物は加工度が低く、食物繊維が豊富に含まれています。
例として、白米や白パンは精製された炭水化物であり、食物繊維や栄養成分が取り除かれています。
これらは消化吸収が速く、血糖値の急激な上昇が予想される可能性があります。
全粒穀物や野菜、果物などの自然輪郭で存在する炭水化物は、食物繊維や栄養素が豊富に含まれています。
さらに、食物繊維は腸内環境を整え、便通を促進する役割も果たします。
健康に良い炭水化物を選ぶことにより、以下のような猶予があります。
・血糖値の管理:
食物繊維が豊富な炭水化物は、血糖値の急激な上昇を暖かくするため、血糖値の管理に役立ちます。これは糖尿病の予防や管理にも重要です。
・飽腹感の維持:
健康に良い炭水化物は、食物繊維が多く含まれており、これによって食事から得られる満腹感が持続します。
これにより、過食や間食を抑制することができ、体重管理にも役立ちます。
・栄養素の摂取:
健康に良い炭水化物には、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質など、様々な栄養素が含まれています。
特に全粒穀物は、ビタミンB群やミネラル(鉄、マグネシウムなど)を豊富に含んでいます、
健康維持に大切な栄養素です。
・腸内環境の改善:
食物繊維を多く含む炭水化物は、腸内の善玉菌のエサとなります。
善玉菌は腸内環境を整え、免疫力の向上や消化吸収の促進に貢献します。
炭水化物を摂取することで、腸内環境を整えることができます。
ただし、炭水化物の摂取量や種類は個人の体質や目標に合わせて調整する必要があります。
糖質制限ダイエットや低炭水化物ダイエットは一部の人に効果的な場合もありますが、全ての炭水化物を気にする必要はありません。
バランスの取れた食事心掛け、健康に良い炭水化物を適切な量で摂取することが重要です。
私もダイエット経験があり、その際は「野菜中心」で、「白米」は月に1度?も食べなかったと思います。「白米」をなしにして、「野菜」に変更するだけでもダイエット効果がありましたよ。関連記事 → 「クオリティ・ダイエット」
【精製されると失われるもの】
同じ米でも、玄米は胚乳、胚芽、ぬかの3つを含むのに対して、白米は精製された胚乳の部分だけしか残っていません。
精米する過程で食物繊維やその他の栄養成分が取り除かれてしまうのです。
では小麦粉の場合はどうだろうか?
普通にスーパーやコンビニでパスタやパンを買うと、ほとんどの楊合、精製された白い小麦粉が使われています。
一方で、精製されていない茶色い小麦粉のことを全粒粉と呼びます。
欧米では、全粒粉を使ったパン、パスタ、お菓子などが多く売られているが、日本ではまだ目にすることは少ないですね。
小麦粉は、胚乳、胚芽、表皮という3つからなります。
通常の小麦は、この小麦を精製して胚乳の部分だけを取り出したものになります。
色の濃い表皮が取り除かれるため、白っぽい色になる。
一方で、全粒粉とは、この3つの成分を全て粉にしたもののことであり、茶色い色をしています。
精白された小麦粉から作られたパンやパスタはふわっとしていて柔らかく食べやすいのだが、この精白過程において、小麦に含まれるビタミンⅭ、ビタミンE、食物繊維などの成分が取り除かれてしまうのです。
白米や玄米の摂取量をグラムで表現しているため、まずはごはん一杯がどれくらいのグラム数あるのかおおまかに理解して欲しい。
ごはんは茶椀に軽く盛ると1杯で160g、大盛りにすると200gくらいあります。
【茶色い炭水化物は死亡率を下げ、数々の病気を予防してくれる】
数々の研究において、精製されていない「茶色い炭水化物」は健康に良い影響を与えると報告されています。
アメリカ、英国、北欧の国々て行われた研究を統合した78万6000人のデータを用いたメタアナリシスによると、1日70gの茶色い炭水化物を摂取したグループは、茶色い炭水化物をほとんど食べないグループと比べて死亡率が22%低かった。
7つの研究を統合した別のメタアナリシスによると、茶色い炭水化物の摂取量が多いグループ(1日2.5単位以上摂取)は、摂取量が少ないグループ(週に2単位未滴)と比べて心筋梗塞や脳卒中といった動脈硬化によって起こる病気になるリスクが21%低かった。
茶色い炭水化物の摂取により糖尿病のリスクが下がることも複数の研究結果によって明らかになっています。
玄米を多く食べる人たち(週に200g以上摂取)は、玄米をほとんど食べない人たち(摂取量が月に、100g未満)と比べて糖尿病になるリスクが11%低かった。
この研究によると、1日50gの白米を玄米に置き換えることで糖尿病のリスクを36%下げることができると推定されました。
一方で、がんに関するエビデンスは、死亡率や動脈硬化ほど強くないです。
50万人を5年間追求した研究によると、茶色い炭水化物の摂取は大腸がんのリスクを若干下げることが明らかになった。
食物繊維の摂取量と大腸がんのリスクとの間には関係は認められなかったため、茶色い炭水化物に含まれる他の栄養素に大腸がんを予防する働きがある可能性もあるとされました。
【全粒粉や蕎麦粉の含有量も重要】
茶色い炭水化物の摂取はダイエットにも有効であると考えられています。
アメリカで行われた研究によると、茶色い炭水化物の摂取量が1日あたり40g増えるごとに、8年間での体重増加が1.1kg減ることが明らかになりました。
複数の研究において、茶色い炭水化物の摂取量が多い人ほどBMIが小さく、腹囲が細いことも示されています。
その他にも、茶色い炭水化物には、便秘を予防する働きや、憩室炎という大腸に炎症を起こす病気を予防する効果があるとも言われています。
ここで1つ注意事項がある。
スーパーやコンビニで手にした商品の中には「全粒粉」と書いてあっても実は全粒粉が少ししか含まれておらず、ほとんどが精製された小麦粉という商品があります。
スーパーなどでパンやパスタを購入する時には食品のラベルを見て、大部分が全位粉でできているのかどうかチェックする必要があります。
食品のラベルに関して、原材料は、使用した重量の割合の高い順に表示されています。
健康のことを考えたらできるだけ全粒粉の割合の高いものを選ぶべきです。
蕎麦を食べるにしても、巷には小麦粉の含有量が多くて蕎麦粉が少しだけしか含まれないものもあるので注意が必要です。
少ししか蕎麦粉が含まれておらず大部分は小麦粉でできている、いわば「蕎麦粉入りのうどん」を食べて健康になった気になってしまうのは危険です。
十割そばや二八そばのように、できるだけ蕎麦粉の割合の高い蕎麦を選んで食べるのが好ましい。
米の場合、単一の原料でない場合、ブレンド米などである旨が表示されているので、玄米だけなのか玄米と白米を混ぜたものなのかは容易に判断できるだろう。
【白米は食べすぎなければ大丈夫なのか?】
著者が食事と健康の話をすると、最もよく質問されることの1つが「白米は食べすぎなければ大丈夫ですよね?」といったものである。
日本人は何事も「食べすぎなければ大丈夫」というあいまいな結論に持って行きたがる傾向があるが、残念ながら、日本人が大好きな白米は「少量でも体に悪い」と言っても良いだろう。
エビデンスによると白米の摂取量が少なければ少ないほど糖尿病のリスクが低いことが報告されているからです。
2012年に世界的にも権威のある英国の医学雑誌に、白米と糖尿病の関係に関する4つのコホート研究(ランダム化比較試験ではない)の結果をまとめたメタアナリシスの結応が発表されました。
その結果、白米の摂取量が1杯(158g)増えるごとに糖尿病になるリスクが11%増えるとされた。
ただし、白米の摂取量が糖尿病のリスクと関連しているとされているのは、他の要素や総合的な食事パターンも考慮する必要があります。
・食事全体的なバランス:
白米の食材の摂取量だけでなく、他のや栄養素とのバランスが重要です。
健康な食事は多様な食材を含み、野菜、タンパク質、健康な脂質、食物繊維などの栄養素バランスをよく摂取することが求められます。
・白米の調理方法:
白米の調理方法も時には重要な要素です。
炊飯器の水分量や炊き方を調整することで、消化吸収が適度になることがあります。
少し長めに炊いて、白米の消化吸収が暖かくなる場合があります。
これによって血糖値の急上昇を注目する効果があります。
・食事全体のパターン:
白米の摂取量だけでなく、食事全体のパターンも重要です。
例えば、白米を本体とした食事パターンでは、他の栄養素のバランスが偏りがちです。
野菜やタンパク質源、健康な脂質をバランスよく摂取することで、より健康的な食事パターンを実現できます。
・個別の要素や体質の許容:
糖尿病のリスクや健康への影響は、個人の要素や体質によって異なる場合があります。
一部の人々は、白米の摂取によって血糖値の急上昇や体重の増加が起こりやすい個人のや健康状態に応じて、白米の摂取量や他の食材との組み合わせを調整することが重要です。
医師や栄養士との体質相談、個別のニーズや目標に合わせた食事プランを立てることが推奨されます。
総じて言えることは、白米の摂取量やその他の炭水化物の選択には注意が必要であり、バランスの取れた食事パターンと個別の要素を考慮しながら摂取することが重要です。
繊維が豊富な全粒穀物や野菜を含む多様な食材を摂取することが健康的な食事の一部となります。
【肥満の原因は炭水化物ではなく小麦?】
最近耳にするようになったダイエット法として、「グルテンフリーダイエット」というものがあります。
グルテンとは小麦などの胚乳に含まれるタンパク質の一種で、小麦を練った時に出る粘りや弾力を作る成分です。
このグルテンは腸壁を傷つけるということで小麦アレルギーの原因物質ともいわれていますが、近年では食欲増進作用があるということもわかってきました。
研究では、グルテンの成分が食欲を刺激し、必要以上に食べ物を欲してコントロールができなくなり、肥満を引き起こすというのです。
このグルテンが含まれる小麦製品とは、パンやパスタやラーメン、うどんなどの麺類や、ケーキやドーナツといったお菓子などが代表的です。
グルテンが含まれないお米や米粉製品、蕎麦粉100 %の蕎麦やビーフン、フォー、春雨などは大丈夫だそうです。
このグルテンを避けた食事をすることをグルテンフリーダイエットというのですが、ハリウッドセレブなどがダイエットに成功したということで、このダイエット法は大ブームになりました。
そもそも、グルテンが含まれている食べ物自体が太る要素が多い食べ物ばかりですから、パンを主食とするアメリカ人がこれを抜けば、必然的に炭水化物の摂取量が減ります。
さらに、炭水化物を抜くのではなく前出の米や蕎麦などに置き換えがされれば、ほぽそういう理由でも痩せてしまうでしょう。
【パン好きにダイエットはイバラの道】
というのも、小麦製品の代表ともいえるパンはダイエットに向きません。
市販のものはマーガリンなどのトランス脂肪酸が多いのはもちろんのこと、パン屋で作られるパンでも、バターが豊富に使われていることが多いのです。
そして、それに合う食べ物や飲み物もダイエットの敵です。
GI値が低いものだと全粒粉やライ麦などが使用されるパンもありますが、結局は和食に代表されるような健康的な食品との相性も良いものが少ないのも難点です。
朝や昼をパン食にしてしまうと、おかずも少なく、摂れる栄養素も少なくなります。
また、お腹がふくれるわりにすぐに空いてしまうので、間食などに手を出しやすくもなります。
グルテンにまつわるさまざまな研究結果は否定しませんが、そもそも小麦を主食とすること自体がダイエットには向かないため、グルテンフリーダイエットをしているつもりが、単純に和食で健康的な食生活をするようになっていて、痩せたという人もいるでしょう。
パンやケーキはまだわかるのですが、実際にうどんやパスタが食欲を増進するような作用があるのか私(著者)個人の実感としてはいささか疑問があります。
ですのでグルテンフリーをもろ手を上げて賛成はしません。
しかし、小麦製品を避けるようにするということは、結果的に米食に行き着くことにもなりますので、そういう意味では良いでしょう。
欧米ではグルテンを避けるとなると食事が一変してしまいそうですが、案外日本人であれば大きな変化を感じないかもしれませんね。
単に、お米を主食とした食事をすればよいのですから。
毎日お米を食べる機会が減ってしまった現代の日本人が和食に回帰するきっかけとなるのであれば、グルテンフリーも良いでしょう。
↓ 参考書籍
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