【今できること】 死ぬときに後悔すること

心理・思考・時間

2012年2月1日に英ガーディアン紙に掲載された、スージー・スタイナー記者による、多くの死者を見送ったオーストラリアの看護師ブロニー・ウェアさんの話が印象深い。

彼女は自分が緩和ケアに働いていたときに見聞したことをまとめて「死ぬ瞬間の5つの後悔(TheTop Five Regrets of the Dying)」という本を出版した。


その中のトップが、他人の期待に応えようとするばかりの人生ではなく、自分が真に生きたいと思う人生を生きる勇気を持っていたかった。

というものだという。

これを読んだときに「洋の東西を問わず、自分の人生を生きは難しいんだな」と思った。

人生が限りなく続くように思えるときに「自分が何のた生きているのか?」を考えるのは困難だ。

なぜなら「そんなことはいつか考えればいい」と思えるからだ。

しかし、死の間際に、残された人生がわずかなものと悟ったときに「何のために生きてきたのか?生きるべきだったのか?」を考え抜かずにはいられない。

このトップ1の後悔からわれわれは学ぶべきだろう。

他者はあなたが思うほどあなたをフォローしていない。

テレビタレントでもスボーツ選手でも政治家でも、ピークにあるいっときくらいは朝から晩まで追いかけてくるような人がいるかもしれないが、ずっとストーカーのように追い回されるわけではない。

ましてや人気商売にある人でなければ、自分が思うほど他者はあなたを見ていない。

加えて、他者の目は多くが不十分な情報に基づいた偏ったものであり、同時にうつろいやすいものだ。

いっとき、それはいい方向に誤解されることもあれば、逆に悪い方向に誤解されることもある。

あなたに関心を失えば、過去にあった批判も支援も友好も何もかも薄まる。

あなたも変わるし、相手も変わるし、世の中も変わる。

期待された政党があまりに中身がないので地に落ち、一方、忌み嫌われていた政党が、たいして中身は変わっていないのに大きく支持される時代が来たり、絶大な人気を誇ったスターの評判が地に落ちたりする。

そんなうつろいやすいものを大事に思って追い求めてみてもあまり意味がない。

そんなものに左右されるより、自分のやりたいことに没入したほうがいい。

今、あなたが他者からどう見られているかなんて、人生の最後から逆算すればどうでもいい途中経過なのだ。

そんなつまらないことにとらわれているのは時間とエネルギーの無駄。

人生を台無しにしているのだ。

主役となってもっと思い通りに生きてみてもいいのではないか?


【人に好かれたい願望】

人はできるだけ多くの人に好かれたいと思っているし、実際、慕われたほうがいいに決まっている。

それには何も反対しない。

ただ、「他人の気持ちはコントロールできない」という、ある意味、冷徹な前提を認識した上での話だ。

私(著者)の持論は、何事も「自分がコントロールできるものに力とエネルギーを集中すべき」というものだ。

自分がコントロールできないことについて、あれこれ悩んだり、心配したり、イライラしたりしても仕方がない。

そして基本的に他人の気持ちはコントロールでぎない。

これは家族でも友人でも恋人でも社員でも同じだ。

人に好かれたいという思いに振り回されて「自分の人生」を生きなかったら、私にはその時間は無駄に思える。

他人に好かれたり慕われたりすることはとても大事だが、それに振り回されていたらとても不幸だ。

私も政治家時代にそういう時期があった。

選挙前になると地元で好かれることばかりを優先していた。

どうやったら好かれるかに腐心し、物言いや服装や地元活動のことまで考え抜いた。

政治家としての自分の人生、つまり自分の信念よりも他人受けを狙っていた時期だと思う。

政治家もある意味人気商売だが、人気に応じて売り上げや収入が変わるわけではない。

人気が大事なのは数年に一度の選挙のときであって、それ以外は政治家としての人生を生きるべきだと、あるとき思い立った。

人間とは敏感なもので「好かれたい」というオーラを出しているときは人々は警戒し、こちらの足元を見て、そう簡単に好きになってはくれないものである。

有権者も社員も慕われたいと思いながら行動をしている人にリーダーシップを感じてはくれず、ついてきてはくれない。

好かれたい・慕われたいとの思いに突き動かされ、振り回され、他者にこちらの媚びる気持ちを見透かされ、逆に好かれず慕われない状況に陥るより、目の前のことに主体的に精一杯取り組むほうがいい生き方だ。

結果として、そういう生き方をしている人を他人は慕ってくる可能性が高い。

私も好感度ばかり気にしている人より、一心不乱に頑張っている人に好感を覚える。

他者の気持ちはコントロールしようとすればするほど離れていく。

そんなものをこちらの思い通りにしようとするのではなく、確実にコントロールできる自分、そんな自分の目の前にあることに時間とエネルギーを集中投下すべきなのだ。

↓ 参考書籍

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