【日常にあふれる些細なミスや失敗から立ち直るには】
再起力(レジリエンス)を強化する方法は2つあり、一つは「内省(ないせい)」すること、もう一つは脳を再訓練することです。
大きな失敗をして落ち込んでいる人は、内省して認知的介入を行い、楽観主義によって敗北者的な思考を解消してください。
悲観的な考えをやめて、将来を前向きにとらえることです。
大きな失敗は人生においてそう頻繁に起こることもありません。
では、リーダーが日常的に経験する、より些細なミスや挫折、動揺から立ち直るにはどうすればいいのか。
その答えは再起力(レジリエンス)だが、この場合は少々やり方が異なり、脳を再訓練する必要があります。
日々の積み重なる厄介事から立ち直ろうとする際に、脳は非常に独特なメカニズムを働かせています。
しかも、ちょっとした努力で、日常の気が滅入るような出来事から立ち直る能力を向上させることができるのだ。
気が動転しているときには、後で後悔するような言動を取ってしまうもので、これは偏桃体、すなわち、危険を察して闘争か逃走反応を誘発する脳のレーダーが、前頭前野にある遂行機能を乗っ取ったことを示す確かな兆候で、神経の観点から言えば、この乗っ取られた状態をすぐに解消することが再起力(レジリエンス)に繋がる。
偏桃体による乗っ取りが生じた後にエネルギーと集中力を取り戻すための回路は、前頭前野の左側に集中していることがわかっています。
また、動揺や不安の左右の活動レベルには個人差があり、それが日々の気分に影響を及ぼします。
右側が活発になるといら立ち、左側が活発になると様々な憂うつから回復する。
私たちの「脳」は左右によって「気分」がコントロールされるようです。かなり専門的な内容ですが、知識として理解しおくのもありだと思います。
職場におけるこの現象を研究するために、企業の従業員に「マインドフルネス」の指導を行った。
これは、その瞬間起きていることを認識しながらも反応しないように、全意識を集中させる、注意力トレーニング法である。
①数分間一人きりになって集中できる、静かな場所を見つける。
②ゆったりと座り、力まずに背筋を伸ばす。
③呼吸に意識をさせる。吸う感覚、吐く感覚を意識してから、次の呼吸に入る。
④呼吸が上手くできているかを気にしない。呼吸法を変えようとしない。
⑤意識に侵入し、集中を阻むもの、音や思考などをやり過ごし、呼吸に集中する。
従業員たちは一日平均30分、8週間にわたってマインドフルネスを実践した、すると、当初はストレスを司る右側に偏った脳の活動が、再起力(レジリエンス)のある左側でより活発となりました。
自分の仕事のやりがいが何であったかを思い出したいう従業員もいました。
働き始めた頃に活力の源泉となっていたものを、取り戻すことができたということです。
最大の効果を上げるためには、これをメンタル・エクササイズとして習慣化し、毎日20~30分をかけるといいでしょう。
マインドフルネスは、頑固な企業幹部たちの間でも着実に信用を獲得しつつあり、ビジネスパーソンを対象にマインドフルネスの指導を行うところもあります。
グーグルなども数年前から、従業員を対象とした講座を開講しています。
【自分の(再起力)レジリエンスを評価・管理・強化する方法】
私は、国が紙幣を印刷するように再起力(レジリエンス)を印刷して増やすことはできない。
個人が再起力(レジリエンス)を築くには、「ポジティブ通貨」と呼ぶ方法を使う必要がある。
これは、実際に生じるポジティブなコミュニケーション、出来事、記憶、どれも再起力(レジリエンス)を高めることが知られています。
この「通貨」は、ポジティブなものに目を向け、それに感謝の念を抱くことで初めて「印刷」され、資産として私たちの中に蓄積されていく。
ポジィティブな視点を持ち続け、定期的に感謝の気持ちを表明することは、再起力(レジリエンス)を補強・蓄積するうえで、金塊にも匹敵する大きな価値があります。
個人の幸福と人生の満足度を高める最も確かな方法の一つは、感謝の念であることがわかっていて、感謝によってポジィティブ通貨をつくり出していけば、不安は軽減され、病気の諸症状はやわらぎ、眠りの質は改善される。
当然ながら、それらすべてが個人の再起力(レジリエンス)向上につながっていきます。
【ポジィティブ通貨の記録をつける】
企業の評価をするための分析ツールは、しっかりとした記録が伴わなければ機能しない。
これは個人の再起力(レジリエンス)の場合にも同じことが言えます。
ポジティブなコミュニケーション、出来事や記憶は、文字に書くことによって、書かなかった場合よりも大きな効果を生むことがわかっています。
したがってポジィティブ通貨の「取引記録」をつけてみましょう。
革装の日記帳であれ、デジタル上の文書であれ、さっと書き留めておくのです。
記録方法としては、ノートのページに「家族」「友人」「仕事」などのカテゴリーを設けて書き込むというシンプルな方法でもいいし、スプレッドシートに情報を入力してもいいし、思い切ってSNSにハッシュタグをつけて投稿してもいいです。
【ポジティブ市場に人を巻き込む】
金融市場は、参加する投資家が増えると活発になります。
個人の再起力(レジリエンス)にも同じことが言え、自分のポジィティブ通貨の買い手を増やすことができれば、再起力(レジリエンス)も高まります。
決して難しいことではなく、ポジティブな態度は人に伝染するからです。
幸福は自分自身の選択や行動だけで決まるのではなく、間接的関係にある他人からも影響を受けます。
自分がポジティブになると、他者にも同じ態度を促すことになり、すると多くの人がポジィティブ通貨を生み、使うことで、ポジティブなグループが生まれ、それらの人々によって、自分自身の再起力(レジリエンス)も増強されていきます。
【定期的に振り返りを行う】
企業であれば、財務状況を定期的に見直すことが、企業の再起力(レジリエンス)にとって重要であるように、個人の再起力(レジリエンス)を高めるためにも、ポジティブ通貨の記録を定期的に振り返ることが必要です。
この振り返りによって、気づきを得て行動を改善できます。
ポジティブなコミュニケーションや感謝の念を再認識するということだけでも、再起力(レジリエンス)を高める効果があります。
「振り返り」はとても重要です、今回は「再起力(レジリエンス)」を取り上げていますが、「仕事」「遊び」「恋愛」「買い物」などを振り返ると、「もっと、仕事を上手くできないか・・・」「もっと楽しむためにはどうしたらいいか・・・」「もっと、彼氏(彼女)が喜ぶ方法は・・・」「本当に買ってよかったのか?もっといいものはなかったのか?」と振り返るとなります。
振り返って落ち込むのではなく、「もっと良く」を考えて、次の行動に移すのです。
止まっている時間って勿体ないですよね。
「好きなこと」「やりたいこと」があるのなら、この「振り返り」を大切にして、今よりもっといい結果を引き寄せてください。
「私は過去のことは考えない。重要なのは、絶え間なく続く現実だけだ」
サマセット・モーム(イギリスの小説家)
↓ 参考書籍
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