【目指すべきは学びの革命】
頂上を決めずに登山をしてはいけません。
働き方改革をすることを目的にしてはいけません。
働き方を変えるのは目的ではなく、手段だからです。
働き方改革で目指すべきは、会社の成長と社員の幸せを両立させることです。
残業を減らすのも手段です。
目指すべきは、今のビジネスにかけている時間を圧縮して、未来に必要なことに再配置することです。
その配置先は、儲けを上げるための事業開発(儲け方改革)と、社員のスキルアップ(学び方改革)です。
多くの企業が社員研修に力を注いでいます。
しかし、研修での目的は、学ぶことではなく、学びを業務に活かすことです。
この頂上を正しく設定しなければ、いくら研修内容がよくても目的を達成することはありません。
よって、例えば集合型研修の成果は社員の満足度ではかるのではなく、その受講者がしっかりと行動に移したかどうかを追跡して評価しないといけません。
せっかくの良い学びがあっても生かさなければ意味がありません。
アウトプットなくしてインプットするのと同じです。
もちろん、相関関係として研修の満足度が高ければ行動意欲が高まるのは確かです。
しかし時間が経っていて翌日になると忘れてしまうことも多いので、いかに学んだことを思い出させ、それを業務に活かすためのきっかけや動機付けをするかが重要です。
研修の満足度が90%超えても、実際に行動に活かした人が10%未満であれば、その研修は失敗です。
私は介護の現場に身を置いていますが、まさに上記のことが多いです。せっかく職場内の研修を行っても、みんなが同じ方向に向かわなければ、サービスの統一ができず、「差」が出てしまいます。
また、同じくクライアント企業で調査したところ、満足度90%以上の研修でも、翌日以降に行動しない人は6割以上になります。
ですが、「デキる人」は、78%の確立で2週間以内に何かしらの行動に活かしていることがわかりました。
成果を出している「デキる人」の行動を真似するのであれば、しっかりと研修受講後に行動に移したかどうかを追跡し、それを高めるためのインセンティブや、チェック機能が必要になりますので、チェック機能を身につけてください。
研修後の追跡を徹底的に行ったクライアント企業では、研修受講後に行動に移した人が7割以上となり、さらに「デキる人」はその後の社内研修の参加率も高まりました。
学びを実践したことによって気づきを得て、それが自分の意識を変えて、さらに学習意欲を高める結果になりました。
未来に必要なスキルを身に付けるということは、会社にとっても働く個人にとってもメリットがあるので、そこを推進していくことで、儲け方改革に繋がります。
研修で重要なのは、動機付けをして自ら学ぶという気持ちを持たせることです。
そこで注視すべきなのが、「自己選択権」という考え方です。
やる気スイッチは内発的動機の中にありますから、自分が興味関心を持つことが前提になります。
その上で与えられた外発的な要因ではなく自分が決めるという内発的要因を組み合わせることで、やる気スイッチを押した状態で研修を受けさせることができます。
学習意欲が高い状態で研修に参加すれば、もちろん吸収することも多く、結果的に業務に活かすことができます。
また研修後に満足度がさらに高まれば、その人の行動やパフォーマンスも変わり、しいては離職率の低下や精神疾患の抑制と言ったことにもつながることがわかっています。
この「自己選択権」をどう働かせるかというと、社員アンケートなどをとって自分が学びたい項目を会社として収集し、その上で会社が学ばせたいことと、社員が学びたいことをメニューの一覧に載せて、その中から年間で何項目受講するということを義務づけるのです。
自分で希望したものが入っていればそれを選択しやすくなりますし、それが「自己選択権」でありモチベーションアップにつながるわけです。
この「自己選択権」を重視した研修プログラムを実践しているある流通企業では、研修のメニュー化を進め、年間で12個の研修を受講させることを義務づけました。
以前は、その受講率が5割未満と低迷していましたが、メニュー化を進めたことによって社員が能動的に研修に参加し、その受講率は92%まで上がりました。
さらに嬉しいことに、行動意欲度は7割以上となり、結果として3年間、離職率が低減していきました。
このように学ばせるのではなく、「学びたい」と思わせる仕掛け作りや、学ぶという行動を自分たちの意志で選択させることによって、吸収率と業務への反映などが変わってくるのです。
誰でもそうだと思いますが。自ら「学びたい」ことに対しては意欲的に取り組めます。「やらされる」ことが私は嫌いなので、その時は多分、半分も吸収できてないような気がします。「学びたい」ことから始めてみましょう。
働き方改革に成功している12.4%の企業は、必ず学び方改革にも取り組んでいます。
そしてただ単に上から勉強しろと言うのではなく、自発的に自分たちで学んでいこうという文化を作っていく活動が学びの改革です。
研修を受けさせることが目的になってしまうと、それを学んで活かそうという気になりません。
しっかりと社員の喉を乾かせた上で、研修という水を与えなければいけません。
そのような仕組み作りを、経営陣を巻き込み、現場の社員と一緒にその学び方の改革を進めていくことで、会社にとっても社員にとっても未来の選択肢を獲得することになります。
また、そこで習得したスキルを活かす場を作らないといけません。
例えば業務改革や新規ビジネスの開発といったところに学んだスキルを活かせるような仕組みを作れば、社員たちに率先してそのスキルを身に付けようとします。
さらに、会社は、「儲け方改革」を目指すべきです。
今後新たな利益を生み出すためには、どのような人材がどれだけ必要かしっかりと設計しないといけません。
その上で、社員に足りないスキルを可視化して、それを学ばせていく必要があります。
決して資格取得だけに力をおきすぎず、未来に必要なスキルは何かということを会社と働く個人の2つの観点で見ていくべきです。
こういった学びの改革は社員に好評です。
研修内容が自分で選べることや、自分の未来価値を高める目的で参加するので学習意欲が高まります。
こういった学び改革ありきで働き方改革を推進すれば、成功確率が高まることがわかりました。
労働時間を単に減らす残業抑制は67%の社員が反対しています。
「やれ!」といっても9か月で元に戻ります。
ですから自分の価値を高める学び方改革をするために、無駄なことをやめて時間を生み出すという意識を根付かせれば、結果として無駄をなくす改革を進めるわけです。
やはり見えないご褒美に向かって走っているよりも、目の前ににんじんがぶら下がっていた方が走りやすいわけです。
↓ 参考書籍
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