夜の生活を充実させる

健康 ・睡眠・美容



【オーガズムは快眠の素】

寝室は眠るための部屋とはいえ、夜の営みという大事な目的のための部屋でもあるというのはみなさんもご承知のとおりだ。


オーガズムに達すると、人は穏やかで満ち足りた気持ちになる。


男性も女性も、オーガズムを迎えているあいだ、オキシトシン、セロトニン、ノルエピネフリン、バソプレシン、プロラクチンといったホルモンが分泌されるという。


こんな説明がなくても、経験すればわかる話だ。


オーガズムに達すると眠くなることは、たいていの人が知っている。


だが、このメリットを実際に活用しているかというと、必ずしもそうとは言えないのではないか。


オーガズムによって分泌されるホルモンについて学び、セックスをするとぐっすり眠れる理由をしっかりと理解してもらいたい。


【オーガズムが生みだす快眠ホルモンとは】


オキシトシンには、ラブホルモンや抱擁ホルモンという俗称がある。


ハグやボディタッチ、そしてもちろんセックスといった親密な行為をすると、相手とのあいだに心のつながりが生まれる。


オキシトシンはオーガズムによって増える。


学術誌『レギュラトリー・ペプチド』によると、オキシトシンには心を鎮める作用があるので、コルチゾールの働きを抑制し睡眠を促す効果をもたらすという。


オキシトシンは通常、視床下部で生成されて下垂体に保存される。


主要な腺や臓器と密接じつながっているため、オキシトシンの分泌が契機となって、気分を高めるもうーつのホルモンであるエンドルフィンの分泌などの作用が休内に生まれる。


エンドルフィンが分泌されれば、健やかな眠りにつく準備は整ったも同然だ。


ところで、エドルフィンの語源はご存じだろうか。


この言葉は、内部に生じるという意味の「endogenous」と、ギリシャ神話で眠りの神とされるモルフェウスから派生した「morphine(モルヒネ)」という二つの言葉から生まれた。


【セロトニンでストレスに強くなる】


セロトニンは眠りに大きな影響を与える。


抗ストレス神経伝達物質として強力な役割を果たすこのホルモンは、セックスによっても瞬時に分泌される。


また、自分はかけがえのない大事な存在だと実感したときにも分泌される。


セックスという行為を通じてというよりも、相手との関係性や絆の感じ方、身体が体験すること全体を通じて分泌されると思えばいい。


脳科学を中心とした学術誌『プログレス・イン・ニューロバイオロジー」に、寝て起きる正常なサイクルを確立して維持するためにはセロトニンが不可欠だと実証する研究が載っていた。


正常なサイクルの確立と維持には、副腎から分泌されるノルエピネフリンも関係している。


【ノルエピネフリンで睡眠のリズムを整える】


イルエピネフリンはノルアドレナリンとも呼ばれ、脳を含む体内でホルモンや神経伝達物質として作用する。


身体の覚醒を調整し、睡眠を正常な状態に保つうえで必要な役割を担う。


私たちが眠りに落ちると、体内でセロトニンが分泌される。


これには深いノンレム脈眼の時間を延ぱす作用がある。


一方、ノルエピネフリンの分泌はレム睡眼時に起こる。


この分泌によって、レム睡眠がその効果を発揮し、さまざまなメリットがもたらされる。


調査によると、睡眠がいくつかの段階に分かれるのは、この2種類の神経伝達物質の関係性によるところが大きいという。


ノルエピネフリンはメラトニンの合成にも一役買っているので、寝て起きる正常なサイクルを保つ手伝いをしているとも言える。


また、ノルエピネフリンの分泌は、中枢神経系、自律神経系、副腎で行われるので、体内のストレス反応全般の調和をはかるという重要な役割も担っている。

【バソプレシンで睡眠阻害ホルモンを減らす】



精神薬理学を中心とした学術誌『ジャーナル・オブ・クリニカル・サイコファーマコロジー』によると、バソプレシンは睡眠の質を高め、睡眠の妨げとなるコルチゾールレベルを下げる役割を果たすという。


バソプレシンは視床下部で合成され、下垂体後葉に保存される。


これまでの調査から、人前でのふるまい、性的動機、一対一の関係の形成、ストレス反応全般において重要な役割を担うとされている。


たくさんの作用があるかなり複雑なホルモンだが、セックスの後に脳に直接分泌されることもあるため、オキシトシンと並んで心を鎮める効果があるとも言われている。



【プロラクチンの分泌が眠りを促す】


プロラクチンは性的満足に結びつくホルモンで、睡眠との関連も深い。


プロラクチンは眠っているあいだに自然と増えることがわかっていて、この物質を注入する動物実験では、動物がすぐに疲れた様子になったという。


オーガズムに達してから少なくとも1時間は、男女を問わず血漿(けっしょう)プロラクチン濃度が大幅に上昇することが明らかになっている。


これでようやく、セックスのことを「寝る」という言い方をする理由がはっきりしただろう。


プロラクチンは性的満足に結びつく。


これが分泌されると、男性は「もう1回」と思ってもすぐにはできない。


なにしろセックスをすると、マスターベーションのときの4倍の量が分泌されるのだ。


女性の場合、プロラクチンの急増はオーガズムとその後に続く性的満足の質に深く結びついていると『ジャーナル・オブ・セクシャル・メディスン』誌に載っていた。


下垂体で分泌されるこのホルモンは、免疫機能や睡眠、ひいては生活の質全般の改善を助けてくれこれもまた、快感を通じて健全なメリットを得るためには、少々積極的になったほうがいい理由の一つである。

↓ 参考書籍

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