【こんなにすごい!唾液の免疫強化パワー】
・ロの中の自浄作用を保って傷や口内炎から守る。
唾液にはリゾチームやラクトフェリンなどの抗菌物質が含まれ、つねに口の中を洗い流して細菌の繁殖を抑えてくれます。
・食中毒などの原因となる細菌が繁殖するのを抑制する。
唾液中の抗菌物質は、口の中の洗浄作用だけでなく、食中毒を起こす大腸菌やサルモネラ菌が体内に入るのを防ぐ役割も果たしています。
・のどからの細菌やウイルスの侵入をがっちりガード。
風邪やインフルエンザのウイルスは乾燥しているところが好き。
唾液は口の中やのどの奥の扁桃(へんとう)を湿らせてなめらかに保ち、感染を防ぎます。
・食品中の発がん物質をパワーダウンさせる。
食べ物の焦げや食品添加物には、発がんをまねく可能性がある物質も含まれます。
唾液中の酵素ラクトペルオキシダーゼには、その力を抑える作用があります。
【消化、虫歯予防、免疫強化に大活躍の唾液】
「よくかんで食べなさい」と言われる本当の理由を知っていますか?
かむことの目的は、口に入れた食べ物を歯で細かくするだけと思いがちですが、そうではありません。
かむと口の中には唾液が出てきて、かんだ食べ物と混ざり合いますが、この「唾液が出る」ことこそ、じつは重要。
なぜなら、唾液には免疫力をアップさせる驚くべきパワーがあるからです。
唾液は下あごなどにある3カ所の大唾液腺から分泌されます。
ふだんは無意識に流れ出て、健康な大人の唾液分泌批は1日に0.9~1.8l。
夜眠っているときよりも昼間のほうが多く分泌され、とくに立べ物をかみはじめると、ふだんの3~4倍の唾液が分泌されます。
唾液の働きはじつに幅広く、まずは食べ物をかみながらなめらかにして、のみ込みやすくします。
そして、食べたもののでんぷんを分解して消化・吸収を助けるだけでなく、唾液が出ることによって胃腸からの消化液の分泌も促されます。
また、酸性になりがちな口の中を中性に戻して、虫歯になりにくい環境をつくります。
さて、唾液パワーがすごいのはここからです。
口の中やのどの乾燥を防ぎ、細菌やウイルスが侵入するのを防ぐのも唾液の仕事ですが、じつは唾液そのものにも抗菌物質や免疫物質が含まれていて、私たちの体を感染症から守ってくれています。
さらに、発がん物質の働きを抑える酵素まで。
昔から、子どものちょっとしたすり傷などに「ツバでもつけておきなさい」と言ったり、「風邪のひき始めにはガムをかんで、唾液をたくさん出せば悪化しない」などといわれるのは、根拠のあることだったのです。
【唾液の分泌力を衰えさせる食生活とは?】
ところが、現代人の食生活は、大切な唾液が分泌されにくくなっているとか!
歯科医師であり、料理研究家としても活躍する田沼敦子さんは、次のように指摘しています。
「私たちが食べ物を口に入れると、脳は経験値からかみごたえを想像して唾液を分泌するように指令を出します。
かまなくてもすぐに味がわかってしまう味つけの濃いものや、かみごたえのないものを食ぺたときには、唾液は少ししか分泌されません。
現代人は柔らかくて甘いものや、市販品の濃い味が好き。
そうしたものばかりを水やお茶で流し込むような食生活を続けていると、脳が唾液を出す必要もないと判断して、分泌されにくくなってしまうのです。」
唾液の免疫パワーを生かさないなんて、もったいない!
かみごたえのあるものを、よくかんで食べ、唾液をたくさん出して免疫力をアップさせる。
とっておきのアイデアをご紹介致します。
【よくかんで唾液を出すための11のアイデア】
「よくかむための料理」といってもとくに変わった食事作りをするわけではありません。
身近な材料をふだんの調理法で料理し、自然にかむ回敬を増やせればベストです。
かむ回散が増えたり、唾液が出やすくなるちょっとした工夫を知っておくと役立ちます。
参考に挙けた数字は、食品10g当たりのかむ回数の目安です。
・かみごたえのある食材を選ぶ。
かみごたえのある食材とは、アーモンドやピーナッツのように堅くてかみ砕くのに力がいるもの、切り干し大根など乾物や根菜のように食物繊維が豊冨でよくかまないとのみ込めないもの、そして油揚げやこんにゃくのように弾力があってかみ切りにくいもの。これらを献立に積極的に取り入れるようにします。
・材料は大ぶりに切る。
かむ目的のひとつは食べ物を細かくすることなので、材料を大きく切れば、それだけかむ回数が増えます。煮物や炒め物の材料も、薄切りや千切りではなく、大きめの乱切りにして調理するといいでしょう。
・肉や魚はさっと加熱、野菜は生。
肉や魚のたんばく質は、ソテーなどで短時間加熱すると堅さが増し、時間をかけて煮込むとまた柔らかくなります。反対に、野菜は生のほうが堅くてかむ回数が多いもの。煮たり焼いたりすると柔らかくなりますが、かさが減ってたくさん食べられるメリットもあるので、全体のバランスで考えます。
・味つけは薄味に。
甘みや塩分の強いものは、口の中に入れた瞬間に味を感じるので、かむ回数が少なくなります。薄味にすると、脳が素材の持ち味をよく味わって確かめようとするので、自然とかむ回数が増え、唾液がたっぷり分泌されます。
・酸味で食欲を引き出す。
「梅干しを見ただけでツバが出る」というように、酸っぱい味や香りは唾液の分泌を促します。また、酢そのものにもすぐれた殺菌力があります。米酢以外にもりんご酢やワインビネガー、話題の黒酢などを上手に使い分け、毎日の献立に積極的に取り入れましょう。
・水分量の少ないメニューを。
口に入れた食べ物の水分が少なければ、のみ込みやすくするために唾液がたくさん分泌されます。食材そのものの水分量にも差がありますが、調理法によって水分は変わってきます。一船的に、油で揚げたり網焼きにすると水分量が少なくなり、煮物やあんかけにすると多くなります。
・目新しい材料をプラスする。
毎日の食事作りを続けているうちに、ついつい限られた材料ばかりを使っていませんか。料理の中になじみのない食材があると、その味や食感を確認するために唾液がたくさん分泌されるので、ときには何か加えるように心がけましょぅ。また、色のきれいな野菜を組み合わせれば、視覚からも食欲が刺激されるので◎。
・素材を組み合わせる。
材料を単品で調理するよりも、数種類組み合わせて使いましょう。食感の違うものをいっしょに食べると、口当たりや味の違いを脳が感じ取ろうとするのでかむ回数が増え、唾液が多く分泌されます。
・一品メニューより定食。
どんぶりものや麺類などの一品メニューは、かき込んで一気に食べてしまいがち。当然、かむ回数も少なくなります。外食をするときも、一品メニューよりは定食を選び、かみごたえの違う複数の料理を味 わいながら、よくかんで食べるようにしましょう。
・ひと口の量は少なめに。
ご飯もおかずも、一度に口に含む量が多いとほおやあごの筋肉、舌を充分に動かすことができず、よくかめない状態でのみ込むことになります。その意味でも早食いは✕。ほどほどの量を口に入れ、意識してよくかんでからのみ込み、そのあと次のひと口を入れる習慣をつけましょう。
・水やお茶は食後に。
水やお茶を飲みながら食事をすることが習慣になっていませんか。食べ物をよくかんで唾液を出す代わりに、お茶などの水分を混ぜて流し込んでしまっているのです。汁もの以外の水分は、食後にとるようにします。
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