以前まで信じられていた「卵は1日1つまで」に制限するべきだというアドバイスは正しくないといった内容のものが散見されます。
2016年5月12日の日経Goodayには「卵1日1個はウソ?コレステロールのホントのところ、コレステロールの摂取目標量が撤廃されたワケ」という剌激的なタイトルの記事が掲載されました。
これは大いに誤解を生む可能性があるタイトルでもあるので、このコラムでは卵と健康の関係に関してはっきりさせておきます。
この記事のきっかけになったのは、厚生労働省が5年ごとに発表する「日本人の食事摂取基準」の2015年版において、コレステロールの摂取基準(目標量)がなくなったことである。
血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高いと心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高くなることは前から知られています。
以前までは、食事中のコレステロールの摂取量が多いと血液中のコレステロールも高くなると考えられていたため、食事中のコレステロールを制限するためにコレステロールを多く含む卵は食べすぎないようにするべきだと言われていました。
その後の研究において、食事中のコレステロールの量と、血液中の悪玉コレステロールの値の間には弱い相関しかないことが明らかになりました。
このような理由から食事中のコレステロールの量の目標値が外されることとなりました。
【卵を1日1個以上食べるリスク】
しかし注意が必要なのは、これは卵をたくさん食べても大丈夫ということを意味しないということであります。
「食事中のコレステロールの量と、血中コレステロール値の間に相関がない」ことと、「コレステロールを多く含む食事をしても健康に悪影響がない」ことは全くの別問題であるからである。
実際に、2013年に発表された16個の研究をまとめたメタアナリシスによると、卵と健康の関係に関しては以下のようなことがわかっている。
・卵を1日1個以上食べるグループは、ほとんど卵を食べない(1週間に1個未満)グループと比べると、2型糖尿病を発症するリスクが42%高い。
・卵の摂取量と、心筋梗塞、脳卒中、およびこれらによる死亡との間には有意な関係はない。
・しかし、糖尿病患者に限って解析を行うと、卵を1日1個以上食べるグル—プは、ほとんど卵を食べないグループと比べると、心筋梗塞や脳卒中によって死亡するリスクが69%高い。
2008年に発表された別の研究においても、卵を1週間に1個末満しか食べない人たちと比べて、卵を1日1個食べる人たちでは28%、1日1個以上食べる人たちでは64%も心不全を起こすリスクが高いことが明らかになっています。
この研究では、卵の摂取量が1週間に6個までであれば心不全のリスクは上昇していなかったようです。
【コレステロール値より病気を防ぐことが大事】
健康的な食事をする目的は、血液検査のデータを良くすることではなく、病気を防ぐことである。
新間やテレピでもやたらと血液検査のデータを良くするための健康情報を目にするが、そういったものに惑わされてはいけない。
そういったものの中には、血液検査のデータは良くするものの、病気のリスクを逆に上げてしまうものもあります。
それでは本末転倒ですよね。
確かに卵を食べても血中の悪玉コレステロール値は上がらないかもしれない。
しかし、卵の摂取量が多い人ほど、糖尿病や心不全のリスクが高く、糖尿病患者については心筋梗塞や脳梗塞などの病気のリスクが高いことが報告されています。
卵はあまり食べない方が良く、食べるとしても1週間に6個までに抑えることが健康にとってはベストであると著者は考えている。
ニワトリの種類が違うだけであり、白い卵でも茶色い卵でも栄養価の面では気にする必要はない。
黄身の色もニワトリが何を食べているかで決まるだけであるので、栄養とは関係がない。
具体的には、パプリカなどをニワトリに食べさせると黄身が濃いオレンジ色になることが知られている。
テレビなどで黄身が真っ黄色の卵を見て、「新鮮な証拠ですね」というコメントをしているレポーターもいるが、必ずしもそういったわけではないのである。
「良質なタンパク質」の代表的な「卵」。トレーニングされている方なんかは、積極的に取り入れているはずです。先にも書きましたが、「量」を気にしてください。必要以上の摂取は、何でも体には良くないですからね。お願いします。
↓ 参考書籍
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