思いつきを磨いてアイデアにするために役立つツールの一つに「創造性のレシピ」があります。
ひと口に「創造性」と言っても、そこには「独創性」や「多様性」、「問題の解決力」などさまざまな構成要素が存在しており、「よいアイデアを思いつくにはどうすればいいんだろう?」などとぼんやり考えてみたところで何も始まりません。しかし、いったん「創造性」を構成するパーツを分解すれば、「よいアイデア」という漠然とした概念も理解しやすくなるでしょう。
この発想は「料理」にとても似ています。カレーライスの完成品をただ眺めて「これはどうやって作るのだろう?」と考えたところで、正確なレシピにたどりつくのは至難の業でしょう。しかし、いったんカレーライスの構成要素を分解して、「カレーにはターメリックとガラムマサラが必要で、あとはニンジンとジャガイモ・・・」といったように切り分けていけば、一気に料理しやすくなります。
外食なんかをしても「家で作れないかな?」「なにか入っているんだろう」と考えながら食事をすると創造性が膨らみ、「もっと自分好みに」と考えると創造性がもっと膨らむはずです。私はそれをしてました。
「よいアイデア」を生む作業も同じで、いったん「創造性」に必要な要素を切り分けていけば格段にとっつきやすくなります。このテクニックが「創造性のレシピ」と呼ばれています。
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次の12の要素が組み合わさったときに「良いアイデア」が生まれやすくなるそうです。
1.積極的な行為と忍耐
クリエイティブな活動に積極的に取り組むことと、何かの問題が起きても粘り強く取り組むことを意味しています。要するに、熱意と我慢強さが大事どというわけです。
2.不確実性に対する柔軟さ
あいまいな情報や矛盾した情報、不完全な情報に対してイライラせず、臨機応変に対処できる能力を意味します。決まったルーチンに頼らなくても行動できるメンタルのことです。
3.特定のジャンルの能力
自分の仕事や趣味に対する知識、技術、経験知の総合を意味します。仕事で使った英語のスキル、学生時代に学んだ統計の知識、趣味で勉強した西洋絵画の情報など、あなたが人生で取り入れてきたあらゆる知識や経験を合わせたもののことです。
4.全体的な知性
一般的な常識やIQの高さと、メンタルの健全さを意味します。IQは遺伝の要素が大きいので簡単には鍛えられませんが、一般的な常識は備えておくように心がけましょう。
5.結果の生成
何らかのターゲットやゴール、結果に向かって行動することを意味します。「これまでになかったものをつくるぞ!」という情熱もここに含まれます。
6.自由と独立
自分のかつどうの内容を、他人の知識に流されることなく自分一人の意志でちゃんと決められることを意味します。社会的な圧力や文化的なバイアスから自由な状態ともいえるでしょう。
7.意図と感情の関与
「良いアイデアをつくる!」という意識をもって取り組み、アイデアを形にするプロセスに没頭することを意味します。「良いアイデアを出して誰かに褒められたい」といった動機ではなく、何かを作り出すプロセスそのものから喜びを得られるかどうかが重要なポイントです。
8.前進と発達
ものごとを作り出すプロセスのなかで、何かしら前に進んでいる実感があることを意味します。もし目の前の作業が停滞していても、全体的なプロジェクトが前に進んでいたり、重要な情報が集まっていたりと、何らかの進展があるかどうかが大事になります。
9.社交的な交流とコミュニケーション
他者や社会からのフィードバックが得られることを意味します。自分がどのような作業をしているのかを他者にきちんと伝えられることができたり、自分の作業について周囲からアドバイスが得られたりと、いろいろなフィードバックを得られるかどうかがポイントです。
10.無意識の反応
完璧主義になりすぎず、ある程度のコントロールを無意識にまかせられることを意味します。全体のプロセスを意識してコントロールしようとせず、理屈ではなく直感に頼る姿勢のことです。
11.社会への貢献
自分ののアイデアが、どれだけ社会の役に立つか?という点を意味します。他者を幸福にするという視点がないと、質の高いアイデアが出にくくなってしまいます。
12.多様性の実験
さまざまなタイプのアイデアを作り出して、いろいろなオプションを試すことを意味します。アイデアの質は量に比例するため、とにかく試行回数を増やさなければ成功は追いつきません。
以上の「創造性のレシピ」はチェックリストのように使うのがおすすめです。(たくさんありますね・・・汗)。始めからすべてをやろうとせずにひとつずつこなしていけば、無理せず考えていけるような気がします。
たとえば、上司から「何か新しい企画を出して」と言われたが、何も思いつかずに困ってしまったら、「創造性のレシピ」を眺めながら、「いまの自分に足りない要素は何だろう?」と考えてみるのです。
その答えは人によって大きく違いますから、ある人は「もっと社会の役に立ってそうな企画考える」のが正解なのかもしれませんし、「趣味で勉強した知識を活かすべき」なのかもしれません。
さらにシンプルに「自分には一般的な常識が足りてないのかもしれない・・・」と気づく人もいるでしょうし、「他者からのフィードバックが足りなかった」と思うケースもあるでしょう。
とにかく重要なのは「創造性のレシピ」を見ながら、ピンと来たものに端から取り組んでみることです。もちろん、それでも良いアイデアが浮かばないケースもありますが、なんのとっかかりもなくアイデア出しをするよりは確実に効率的でしょう。
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