免疫力を高める食事のヒント

食事・運動・仕事



「何を食べるか」より「どう食べるか」



【朝食で「免疫お助け栄養素」を補給】

朝は大忙し。


少しでも長く寝ていたいからと、朝食を抜いたりしていませんか?


朝食を抜くと、午前中、頭が働かずボーっとしますが、それだけでなく、免疫力も低下しています。


7時間前後の睡眠中、私たちは何も食べていないのですから、血中の栄養素は不足ぎみ。


とくに病原体を攻撃したり、活性酸素から細胞を守るビタミンCの在庫不足は深刻です。


せめて一杯の野菜ジュースを飲んで、ビタミンCを補充してから一日をスタートさせて!


また、皮膚や粘膜、免疫細胞の材料となるたんぱく質も不足しています。


パンなら牛乳、ご飯なら納豆などをプラスして、大事な材料を補給しましょう。


朝食をきちんと食べると、頭も腸も元気に働きはじめて、快調なスタートが切れます。




【温かいものを食べて、体を温める】


体温と免疫力の活性には大きな関係があります。


免疫細胞は37℃前後のやや高めの体温で元気に慟いてくれますが、逆に体温が0.5℃下がると免疫活性が35℃も低下するという報告もあり、一年を通じて体を冷やさないように注意することが大切です。


冷たいものばかり食べていると、おなかが冷えて腸内の善玉菌が滅り、免疫機能も低下してしまいます。


温かいものを食べて体を温めることは、簡単にできる免疫カアップの方法。


体温が1℃上がると免疫活性は6倍になるともいわれています。


お茶はもちろんのこと、野菜がたっぷり入ったスープなら、病原体をブロックする粘膜に必要な栄養素や水分の補給にもなって、一石二鳥です。



【よくかんで唾液を出そう】



食物繊維の多い歯ごたえのある食べ物を、あまりとらなくなった日本人。


昔と比べてあごもほっそり、小顔になったといわれますが、免疫という点では必ずしも歓迎できません。


リゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリンなどの酵素を含み、抗菌・殺菌作用のある唾液は、ものをよくかまないと分泌されません。


また、耳の下にある唾液腺(耳下腺)から、唾液といつしょにパロチンというホルモンが分泌されますが、このパロチンは免疫力を高めるともいわれています。


よくかむことで胃腸の働きも連動して活発になり、免疫細胞に必要な栄養素の吸収もアップ。


かめる食材の定番といえば根菜や乾物ですが、それ以外でも、大きめに切って薄味にするとかむ回数が自然に増えます。



食後はひと休みし胃腸をいたわって】



食べたあとは胃腸がゆったりと消化・吸収の仕事に取り組めるよう、ひと休みしましょう。


消化液がよく分泌されて病原体への殺菌効果が高まったり、腸の免疫細胞の慟きも活発になるなど、免疫カアップにつながります。


ときどき、昼食を食べたあとにジョギングをする人を見かけますが、これはNG!


食後すぐに運動すると、胃腸に充分な血液が回らなくなり、消化が滞ってしまいます。


胃腸にたまった未消化のものが時間とともに腐敗すると、有害物質が発生して腸管粘膜を剌激、免疫力もダウンします。


胃での消化活動には約2~4時間かかりますが、食後30分はできるだけ静かにしているのが理想です。


【食品添加物はなるべく避けよう】



身近な食品のなかには、添加物が数多く含まれているものも少なくありません。


なかには、発がん物質となる可能性のあるものや、体内で活性酸素を発生させるものなどがあり、体に蓄積されて免疫力を低下させたり、免疫機能に欠かせないビタミンCや亜鉛などを浪費します。


少しでも添加物を減らすには、手軽なインスタント食品や加工食品をなるべく避け、よく洗う、一度ゆでこぼすなど、調理にひと手間かけることが肝心。


野菜や果物を選ぶなら、農薬の少ないものや栄養豊富な旬のものを。


輸入ものより国産のほうが、ポストハーベスト(収穫後農薬)もなく安心です。


もちろん、同じものを続けて大量に食べないバランス感覚も忘れずに。



【いろいろな食材を、代わる代わる食べよう】



免疫システムは、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、ファイトケミカル(植物由来の化学成分)など、多くの栄養素が働いてパワーアップするもの。


かたよった食生活で不足している栄養素があると、そこが弱点となり、免疫力がダウンします。


ポイントは、やはりバランスよく食べること。


むずかしい栄養計算をしなくても、ひとつのものを毎日食べつづけることなく、いろいろな食材を取り入れるようにすると、自然にバランスがとれてくるでしょう。


また、同じものを毎日大量にとっていると、それがアレルギー反応を引き起こす可能性も。


ある食品を食べたら、3~5日以上あけてから再度食べる「回転食」という食べ方を実行すれば、アレルギーのリスクを減らしてくれます。


【好きなものを、楽しく食べることも大切】



「免疫力を高める食事」といっても、あまりむずかしく考えず、楽しんで食べることも大切です。


「おいしい」「楽しい」と感じることでリラックスすると、βーエンドルフィンというホルモンが分泌され、アドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾールといったストレス対抗ホルモンの分泌を抑制するので、免疫細胞を活性化する効果があります。


また、リラックスして食事をすると、胃腸の慟きも活発になって消化・吸収が進みます。


忙しいときは料理をするのも面倒と思いがちですが、冷凍食品や素材缶を利用すれば、下ごしらえの手間が省けて調理が簡単。


そのぶん、盛りつけやテーブルセッティングなどを工夫し、会話のはずむ食卓になるよう、楽しみながら演出してみるのもおすすめです。

↓ 参考書籍

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