睡眠の改善において一番重要なのは「自然」です。
人類は古代から豊富な自然音と木々に包まれながら眠ってきたため、自然のなかにいるだけで、私たちの体は睡眠の質が上がるようにデザインされています。
2016年、コロラド大学が被験者に冬山で寝起きするように指示したところ、2日後に全員のメラトニンが増加する現象が認められました。
「メラトニン」は体内時計をコントロールし、私たちを自然な眠りに誘うホルモンです。
通常は日が沈んだころから血中濃度が増え始めますが、夜中まで人工照明に照らされたような状況では、分泌のタイミングが遅くなることがわかってきています。
夜になっても眠れない現代人が多いのは、メラトニンの分泌のタイミングのせいです。
自然環境によるメラトニンレベルの改善は、アウトドアで過ごす時間が長くなるほど効果も高くなります。
キャンプで一週間過ごした場合、メラトニンの増加のタイミングが2.6時間に改善。
さらにキャンプの時期を夏場に変えると、いつもより4.6時間も前にメラトニンの分泌が始まり、体内時計のタイミングが日の出と日の入りの時間に一致しました。
つまり、太陽の運行に体がシンクロし始めたわけです。
自然と触れ合う趣味がある方なんかは最高です。もしかしたら、自分では考えていないけど「勝手に自然を求めて行っていたのかも・・・」
「自然の光をたった2日浴びるだけでも、体内時計は69%もシフトする。
このデータもとに、近代の建築は自然光を取り入れるデザインにしたほうがいいどろう」
睡眠負債を返したければ、まずは日中に太陽の光を浴びる時間を出来るだけ増やした上で、夜には室内の照明を限界まで暗くしてみてください。
これに加えて、定期的にキャンプでメラトニンのメンテナンスを行えば、少しずつ負債は減っていきます。
室内を暗くするには1級の遮光カーテンを使うのが理想ですが、当面の処置としてはアイマスクと耳せんでもかまいません。
「睡眠を改善するアイテムは何か?」という疑問について調べた研究で、耳せん、アイマスク、マッサージ、アロマテラピー、リラックスの音楽の中で効果が認められたのは「耳せん」と「アイマスク」だけでした。
それ以外の方法については、はっきりしたデータがありません。
「耳せん」と「アイマスク」を同時に使うと、睡眠中のストレスホルモンが下がり、逆にメラトニンの量が増えていきます。
アロマやマッサージのリラックス効果を否定するわけではないものの、現時点ではこの2つを使うのが確実です。
また、定期的にアウトドアに行くのが難しい場合は、メラトニンのサプリを飲むのも手です。
ホルモン剤の一種なので効果はとても大きく、騒音や照明のせいで眠れない場合は、アイマスクと耳せんより1日1mgの「メラトニン」を使ったほうが効果が大きいと結論が出ています。
ホルモン剤と聞くと怖いかもしれませんが、数多いサプリの中でもメラトニンは安全性が高い成分です。
睡眠障害、不眠症の根本治療は「生活習慣の改善」です。睡眠薬も睡眠サプリも「その場しのぎ」であることを理解しておいた方が良いです。樺沢紫苑先生のお勧めしている「朝散歩」。試して欲しいです、私も実践しています。
用法としては、寝床に入る30分~120分に0.5mgを飲みます。
それでも効果が見られなければ、1週間ごとに0.5mgずつ増やしてください。
ただし、メラトニンはあくまで体内時計の調整に使うサプリなので、午前中や昼間に飲むのはよくありません。
過去の実験でも、朝にメラトニンを飲んだグループは糖尿病のリスクが悪化したとの報告もあります。注意してください。
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