最大酸素摂取量の決め手こそが、筋肉細胞のなかに存在する「ミトコンドリア」です。
私たちの体は約60兆個もの細胞からできていますが、ミトコンドリアはほとんどの細胞のひとつの細胞内に平均で300~400個存在しています。
体重の10%はミトコンドリアの重さだともいわれています。
ミトコンドリアの起源をたどると、もともとは細胞外からやってきた生き物(細菌)でした。
しかし、私たちの祖先の細胞は、こうしてエネルギー産生効率のよい「ミトコンドリア」という工場を手に入れたおかげで、飛躍的な進化を遂げることができたのです。
いまや私たち人間はミトコンドリアなしでは生きていけませんし、ミトコンドリアも細胞の外では生きていけない、強い共存関係にあるのです。
そしてこのミトコンドリアの存在が、最大酸素摂取量に大きく関わっています。
先に答えをいってしまいますが、ミトコドリアの「量」(=数)と「質」(=ATPへの変換効率)によって、個人の最大酸素摂取量が変わるのです。
さらに、ミトコンドリアは、量と質のいずれも、年齢とともに減少・低下していきます。
たとえば、社会人になって何十年も運動をしていないような人は、若いころと比べて筋肉が相当減っているので、ミトコンドリアの「絶対量」自体がそもそも減っています。
しかも、ミトコンドリアの「質」も悪化しています。
そのため最大酸素摂取量も減っているわけです。
会社の後輩などと一緒に電車に急いで乗ろうとして、ちょっとした距離を小走りしただけなのに、自分だけゼエゼエと息を切らして、少し恥ずかしい思いをしたことはないでしょうか?
肩で息をするのは「エネルギ—産生工場」が「やばい!いまのぺ—スではエネルギーの産生が追いつかない!もっと酸素を送ってくれ!」とSOSを出している証拠です。
普段からジョギングなどの有酸素運動をしている人や、ミトコンドリアの質が高い若い人がちょっと小走リしたくらいなら平然としているのは、「エネルギー産生工場」をたくさん特っている上に、エネルギーを生み出す効率がいいからです。
しかも、ミトコンドリアの量と質が低下すると単に持久力が落ちるだけではなく、質の悪いミトコンドリアは、細胞を傷つける「活性酸素」をたくさん生み出します。
過剰な活性酸素は、体に害を与えます。
たとえば、
・老化の加速
・脳梗塞
・糖尿病
・アルツハイマー病、パーキンソン病
・心血管疾患
・がん
などの原因となりうることがわかっています。
筋肉が大きくなれば最大酸素摂取量も上がるため、筋トレをするだけでもある程度は最大酸素摂取量も上がります。
ただし、息を止めて負荷をかける無酸素運動の筋トレだけだと、上げられる最大酸素摂取量にどうしても限界があります。
では、どのような運動がいいのか?
答えは「HIIT」です。
HIITは筋肉がつくほどの高い負荷をかけつつ、有酸素運動もするので、最大酸素摂取量を効率的に上げる(ミトコンドリアの量を増やし、質を高めるとともに、心肺機能も高める)手段として非常に優れているわけです。
Youtubeで「HIIT」と検索すると動画がたくさんありますので、普段の運動に取り入れることをお勧めします。ちなみに私は「ドタバタさせないHIIT」の動画を参考に行っております。周りに迷惑をかけないようにしてください。
↓ 参考書籍
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