仕事の9割は「出力(アウトプット)」

食事・運動・仕事


「出力」(アウトプット)とはそもそも何でしょう?


情報を取り入れるのが「入力」(インプット)です。

そして、その情報をもとに「思考」「整理」などといった形で、脳の中で情報が加工されていきます。


そのあと「話す」「書く」「行動する」などのすべての動作が「出力」(アウトプット)になります


取引先との商談、社内の会議、飛び込み営業、プレゼン、パソコンを使った資料作成、公園の原稿執筆・・・いわゆる、手や口を動かして「仕事をする」ことは、すべてアウトプットです。


ですから、仕事のミスや失敗というのは、多くの場合「アウトプット・ミス」として現れてくることになります。


だからこそ、「アウトプット・ミス」を減らしていくことが大切です。


その原因を究明して、対策を講じることで、あなたの仕事上のミスを、かなり割合で減らすことができます。


ここからは「アウトプット・ミス」を減らすための具体的な方法について説明していきます。



【時間帯・曜日決め打ち時間術】


「ミスの魔の時間帯」に作業しない。


ミスを減らすのは意外と簡単です。


24時間、365日、常にミスが起き続けるわけではないからです。


ミスが起きやすい時間帯や曜日というものがあります。


それは、「ミスの魔の時間帯」と言ってもいいでしょう。


一方で、集中力が高く、ミスをする確率がきわめて少ない時間帯もあります。


ミスをしては困るような重要な作業は、集中力の高い、ミスしにくい時間帯に行うようにしましょう。


そして、集中力が非常に低下する「ミスの魔の時間帯」には、決して行わないようにしましょう。


このような、ちょっとした「時間配分」だけでも、ミスをかなりの割合で防ぐことができます。


1日の中で最も集中力が下がる一番の時間帯は、「未明」です。明け方、午前3~5時頃、徹夜した経験のある方は、この時間帯に作業をしたことがあるでしょう。


その時間帯は、もちろん強い眠気が出ます。


集中力も極端に下がりますから普段では絶対にしないような重大なミスが起きる可能性が高いのです。


人間にとっては、本来寝ている時間帯なので、1日の中での睡眠、覚醒のリズムから見ても、認知機能が最も低下するのです。


ですから、どれだけ注意を払っても、ミスを防ぐのは無理な話です。


徹夜で明け方まで仕事をしていても、大きなミスをしてしまっては、それまでの努力も台無しというか、むしろマイナスになってしまいます。


徹夜での仕事というのは、「ミスを減らす」という視点からも、また適正な睡眠時間を確保するという意味においても、まったくおすすめできません。



【ミスをしやすい時間帯・曜日は避ける】


ウェブサイト「はたらこねっと」が行った、510名に対する「失敗談」に関するアンケート調査で、興味深い結果が出ています。


「失敗をしてしまうのは、どんなときでか?」という質問に対して、最も多かった時間帯は「午後(14時から16時)」が40%と、圧倒的多数を占めました。


また、最も多かった曜日は「月曜日」25%、次いで「金曜日」(19%)。最も少なかったのは「火曜日」5%です。


14時~16時というのは、昼食の満腹感と仕事の疲れが重なって、ちょうど眠気が出てくる時間帯でもあります。


この時間帯は、明らかに集中力が低下していますので、絶対にミスが許されないような重要な仕事は避けるべきでしょう。


1日の中で集中力の高い時間帯は、間違いなく午前中です。


ですから、ミスをしてはいけない重要な仕事は、午前中に終わらせる。午後には持ち越さない。かなりのミスを減らせるはずです。


さらに、曜日でみると失敗の4分の1は月曜日に起きると言います


これは、かなり高い確率です。週の始まりなので、まだ仕事が本調子でないから、もしくは、休み明けで仕事が溜まっていて仕事量、作業量が多いということもありそうです。


一方で、「火曜日」の5%というのはとても低い確率です。火曜日に失敗することは滅多にない、と言っていいでしょう。


したがって、ミスが許されない重要な仕事は「月曜」「金曜」を避けて、できるだけ「火曜」にやるようにしてください。


【ウルトラディアンリズム時間術】


「覚醒リズム」に乗る。


15時前後と未明は「ミスを起こしやすい時間帯」として注意すべきですが、人間は、もっと細かく、90分単位で覚醒度、注意力と集中力のリズムを刻んでいます。


たとえば、車を運転していて、猛烈な眠気に襲われたことはありませんか?ガムを噛んでも、コーヒーを飲んでも、ほっぺたをつねっても効果はありません。


そんなとき、近くのサービスエリアに車をとめて、たった10分休憩しただけで、さっきまでの眠気が嘘のようになくなり、頭がスッキリすることがあります。


あの猛烈な眠気が、嘘のように消えてなくなっているのです。


人間の覚醒リズムは、覚醒度の高い状態が90分続き、そののち、覚醒度の低い状態が約20分続く。


それが、1日で何度でも繰り返されています。


このリズムはウルトラディアンリズムと呼ばれています



覚醒度の高い状態とは、注意力・集中力の高い状態で、ミスを起こしにくい状態のことです。


逆に、覚醒度の低い状態とは、眠気が強く、注意力・集中力が低い状態で、ミスを起こしやすい状態です。


車の運転であれば、自動車事故を起こしやすい状態と言えます。


先ほどの、運転中に訪れる強烈な眠気は、ウルトラディアンリズムの底辺の部分(覚醒度が最も低い状態)と考えられます。


強い眠気とともに、注意力・集中力は最低レベルまで下がっているので、突発的な状況に対応できないのです。


こうしたときには、事故を起こす確率が非常に高いので、すぐに車を停車して休憩するべきでしょう。


休憩と言っても、何十分もする必要はありません。


5分でもいいし、10分でもかまいません。


休憩すると、覚醒度は上昇に転じて、眠気もすぐになくなっていきます。


ウルトラディアンリズムは、生物が持つ動かしがたいリズムですから、あらがうのではなく、このリズムに合わせて仕事をするべきです。


90分集中して、注意散漫になってきた、眠気が出てきたら、15分程休憩を入れる。休憩をしないで仕事を続けると、ミスを引き起こす確率が飛躍的に高まってしまいます。


ウルトラディアンリズムは、90分プラス20分が基本ですが人によって個人差がかなり大きいことが最近の研究で分かっています。


プラスマイナス20分の誤差、70分~110分と、人によってはかなりの誤差がありますので、あまり「90分」にこだわる必要はありません。


90分前後の仕事を続けると、脳のパフォーマンスは必ず下がってミスしやすい状況になるので、きちんと休憩を挟もうということです。


ウルトラディアンリズムの底辺の時間帯に、仮眠をとるのもいいでしょう。


眠気が強いので、短時間でも深い睡眠に入りやすく、5分、10分、あるいは15分といった短時間の仮眠でも非常に大きな脳と体の疲労回復効果が得られるからです。



【脳が目覚めるゴールデンタイム時間術】


面倒な仕事は朝一で終わらせる。


ミスを起こしやすい時間帯は、午前3時前後と午後の15時前後。


「ミスをしてはいけない仕事」をこの時間帯にすべきではない、というのはわかったと思いますが、では「ミスしてはいけない仕事」は何時にするのがベストなのでしょう。


答えは「朝9時」です。


つまり、一般的な企業の始業時間と同時です。


朝起きてから、2~3時間を脳のゴールデンタイムと言います。


朝起きると、睡眠によって脳の中がきれいに整理された状態になっています。


これは、何も載っていない「まっさらな机」のような状態です。



そして、朝一の脳はまったく疲れのないイキイキとした状態です。


つまり、朝の「脳のゴールデンタイム」の状態が、1日の中で最も集中力が高いのです。


ミスをしにくい時間帯と言えるでしょう。


ですから、1日の中で最も「ミスしてはいけない仕事」は、始業開始と同時に全力で取り組んで、さっさと終わらせるべきでしょう。


なぜなら「脳のゴールデンタイム」は起床後、2~3時間しかないからです。



朝7時に起きる方は、せいぜい午前10時ということになりますので、あまり時間は残されていないのです。


脳のゴールデンタイムに、どれだけ重要な仕事を終わらせることができるかによって、1日が決まる、と言っても過言ではありません。


しかし、残念なことに、ビジネスパーソンが始業直後にやる仕事は、メールやメッセージのチェックが多いのではないでしょうか?


メールやメッセージのチェックは、脳がどれだけ疲れていてもできる「単純作業」です。


そんな単純作業で、脳のゴールデンタイムを浪費するのは、究極の時間の無駄使いと言えます。


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【脳のゴールデンタイムを延長する方法】


始業から1時間で「ミスのしてはいけない仕事」をすべて終わらせましょう、と言っても、「決算書の作成」のような膨大な資料を作る場合、1時間で終わるはずがありません。


そんな場合は、どのようにすればいいのでしょう。


脳科学の本を読むと、「脳のゴールデンタイム」は、起床後2~3時間と書かれています。


では、起床後、3時間1分たつと、それは「脳のゴールデンタイム」ではないのでしょうか?


その3時間の線引きに、科学的根拠はあるのでしょうか?


実はないのです。


少なくても私は「3時間を超えると脳のゴールデンタイムは失われる」という論文はないようです。


「起床後2~3時間は、脳がイキイキと活動できる」というのは、多くの方が実感する経験的な数値、あるいはそうしたものの平均値と考えられます。


実は、「脳のゴールデンタイム」は延長可能です。


「脳のゴールデンタイム」とは、「脳がまっさらな机のようにきれいな状態」であるということですから、脳の中を散らかさず、きれいに使い続けるとしたならば、集中力は失われずに、「脳のゴールデンタイム」のパフォーマンスが維持されます。


そのために必要なのは、「余計な情報」を一切、入力しないことです。


一番良くないなのは「テレビ」です。


朝の情報番組などを見ると、脳に膨大な情報が入力されます。


脳の中が一気に「雑然とした状態」になりますから、「脳のゴールデンタイム」は延長どころか、その時点で終了になってしまいます。


佐藤さん
佐藤さん

テレビや新聞、ネットなどの情報のチェック、メールやメッセージのチェックなどもおすすめできません。ちなみに私は「テレビ」持っていません・・・必要ないですね(笑)



一切の情報を遮断して、「缶詰」状態で一心不乱に集中して「仕事」に向き合う。


企業に勤めているビジネスパーソンの方は、電話が鳴ったり、上司から呼び出しされたりして、「缶詰」状態になる事は、ほぼ不可能でしょうが、「朝の情報番組を見ない」「メール、メッセージのチェックは、少し疲れてきた休憩時間に行う」「午前中に人と会う予定を入れない」といったことだけでも、「脳のゴールデンタイム」は延長できるはずです。


午前中は、集中力を高い状態で維持できる時間帯です。


1日の中で、最も「ミスをしない時間帯」ですから、大切に使いたいものです。


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