【なぜ人はブランド品にひきつけられるのか】
1980年代から始まった日本でのブランドブームは、バブル経済の象徴ともいえるものでした。
パリの老舗ブランドショップでは、日本人観光客のすさまじい買い方に「日本人客お断り」の紙が貼られたこともあるそうです。
さすがに今は落ち着いているようですが、プランド信仰に陰りが生じたわけではありません。
各有名ブランドにとって、日本人は相変わらずよいお得意さんであり、日本でショップが開店すれば客は徹夜で並び長い行列を作ります。
ブランド品は相応の年齢になり、社会的な地位を獲得した人が身に着けるもの、という価値観がある外国人から見ると、若い女性がシャネルを着たり、普段着の主婦がヴィトンのバッグを持ってスーパーに買い物に行くのは、大変奇異な光景に見えるそうです。
しかし、一般的な日本人がブランド品を身に着ける心理は、本来の顧客層である上流階級の一員になりたいという願望の表われ。
だから地位など関係なく、まだおしゃれ上手な人もそうでない人も、誰もがブランド品を持ちたいと願うのです。
多くの人は、「友人が持っているから」「流行だから」という理由で、ブランド品を選んでいるのではないでしょうか。
このように他人の目を意識した行為は、同調行動の一つ。
日本人はもともと同調性が高いので、みんなが持っているものを持つことが安心につながり、それがブランド信仰に拍車をかけています。
【高いものを選ぶ人ほど、価値がわかっていない?】
右にならえのブランド信仰でも、たとえばフェラガモを選ぶ人の心理は少し違います。
イタリアを代表する靴の有名ブランドフェラガモは、シャネルやヴィトンのように誰でも持っているものではありません。
むしろフェラガモ病といって、ファンがいることで知られるブランドです。
フェラガモというブランドを好む人は、みんなとは違うものを身に着ける、そのことに優越感を覚えているのです。
ブランドではなく、値段の高いものに価値を見いだす人もいます。
ブランド信仰層よりも見る目がある人という感じもしますが、大間違い。
熱狂的なフみ自分自身の判断基準がないために、値段が高いものはよい品物と安易に判断しているのです。
アメリカで行なわれた実験では、売れ残りの商品により高い値段をつけて売ったところ、売り切れてしまったそうです。
本当に品物のよし悪しがわかる人は少数で、多くの人はブランド名や値段に頼っているのが現状でしょう。
【接客のプロは、服装ではなく靴を見る】
では、ブランド品を身に着けていればステータスが高い人、と判断されるのでしょうか。
接客のプロは服装ではなく、靴で判断するといいます。
革の質や形はもちろん、底の減り方や磨き具合、手入れの程度なども含まれます。
確かに、ブランド品の服やバッグを持つことに一生懸命でも、靴は安物ですまされているケースは多そうです。
社会的な地位や経済力がある人は、目につきにくいところまでお金をかけたり、丁寧な手入れをする余裕があるということでしょうか。
一般人なのに靴までいいものを選び、手入れも完璧となれば、おしゃれに関しては完全主義者であり、上昇志向の持ち主と見ることができるでしょう。
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