身体言語には「身体→思考への影響」と「思考→身体への影響」という二つの方向性がある。
身体言語を操る「ボディー・リーダー」は、どちらの方向にも「通訳」できないといけない。
そのためには、まず何といっても相手のしぐさや声のアクセントをよく観察することだ。
こうして観察力を磨けば、相手の本音を見抜けるようになるだろう。
相手が言葉のどこを強調しているか?
身体の動かし方はどうか?
どこを見ているか?
すると、そのうち気づくはずだ。
人間の身体は絶えず非言語コミュニケーションを続けていることに。
私たちは四六時中ひっきりなしにおしゃべりをしているのだ!
しぐさの中には、意図がとても明確なものがある。
女性に「僕の部屋に来ない?秘蔵の写真コレクションを大画面で見せたいんだ」と誘ったところ、相手の女性がうなずいた。
これは一目瞭然だろう。
OKのサインだ。
だが、もっとわかりづらいシグナルもある。
同僚が「君と一緒に働けてすごくうれしいよ」と言いながら、つま先と肩はあなたのほうを向いていない・・・といったケースがその例だ。
こんなときは、言葉にだまされてはいけない。
しぐさのシグナルに隠された本音を読み解かなくてはいけないのだ。
ただ、残念なことに、僕たちは自分で思うほど小さな変化を読み取れてはいない。
微細なシグナルは、そうそう感知できるものではないのだ。
というのも、実際人間が知覚しているのは身の回りで起こっていることのほんの一部にすぎないからだ。
試しに自宅のテレビのリモコンがどんな見た目だったか、思い出してみよう。
音量ボタンはチャンネル選択ボタンの左右どちらについていただろうか?
各チャンネルの数字の書体は?
ボタンや数字の色は何色だろうか?
日本人に「ボディーランゲージ」を大げさに使う人は少ないと思います。ただ、些細なしぐさや行動などは、人類、皆、共通なはずです。「観察力」を磨いて、人間観察すると意外と面白いですよ(笑)。私は若い時から「行動心理」が好きで、人間観察してきました(笑)。内緒ですよ・・・
【本音は「変化」に表れる】
慣れとはひどいもので、世界を見たいようにしか見なくなる。
これの最大の問題は「変化」にほとんどないことだ。
なら、ある状況でその人の身振りや姿勢が「変化」したのは初めて、身体言語は意味をもつのだから。
これは普通の言語でも近い話だろう。
「銀行」と「ベンチ」の二つの意味がある。
「お金をバンクに持ってる」と言ったら、銀行のことだったらすぐにわかるだろう。
「彼は銀行に腰かけた」と言ったら、当然ベンチのほうだ。
「銀行を探しています」と言われても、あなたは銀行かベンチかわからず困ってしまうのだろう。
ある身振りや動作を意味するためには、躊躇、「違い」に気づくことが重要だ。今いる間ずっと手もみをしているのなら、その動作には特に意味はないか、それともあなたとは無関係な理由によるのものだ。
もしかしたら、その人は手もみが癖なのかもしれない。
もし、あなたが話題を変えた見直しに手もみの動作が始まったのなら、そこには多少の意味がある。
このように、苦しみをふまえて相手の「変化」を読むことが重要になります。」の内容をまとめた、サブタイトルを考えてください。
【あくびは退屈のサインではない】
会話の最中にいきなり相手に大あくびをされたら、かなりショックだろう。
大口を開けてあ「すまない、酸素が足りないみたいだ」と言い訳するかもしれない。
だが、あくびが酸素不足によって起こるものでないことは、科学的にもとっくの昔に証明されている。
僕たちは通常、会話中のあくびの意味するところはたった一つだと考える。
すなわち、「あなたの話に興味がありません」というメッセージである、と。
想像してみてほしい。
あなたは自分が温めていた新プランについて熱く語っている。
すると、相手の身体言語に変化が表れた。
さっきまで笑顔だったのに、なんと急にあくびをしたのだ。
まるであなたに二時間も延々と休暇の写真を見せられているかのように。
しかも、あくびは伝染する。
一人のあくびをきっかけに、その場の全員がタイミングよく同時にあくびをしてしまう・・・。
自分のプランについて熱弁をふるっていたはずのあなたまでも、あくびをしてしまう・・・。
だがこの場合、あなた自身があくびをした理由は「話に興味がないから」ではありえない。
ちなみに、「あくび」という文字を見るだけでも、あくびは伝染する。
あくびをしている写真も同様だ。
では、そんな不可思議な「あくび」の裏にはどんな秘密が隠れているのだろう?
ニューヨーク州立大学オールバニ校の二人の心理学者が「あくびが出るのは脳の熱交換を促すためである」という研究結果を発表した。
研究を行ったアンドリュー・ギャラャプとゴードン・ギャラップは、鼻呼吸している被験者にはあくびが伝染しないことを発見した。
鼻呼吸には脳を冷やす効果があるとされる。
一方、鼻をクリップで塞がれた被験者にはあくびが起こった。
また、額に冷たいパックを当てた被験者にも「あくび伝染効果」は見られなかった。
このことから次のようなことが推測できる。
僕たちはあくびをすることで脳に冷たい血液を送り込み、頭をすっきりさせて思考力を高めようとしているのではないか。
つまり、あくびは退屈のサインではなく、むしろ集中力を保っための手段なのではないか。
これをふまえて、あくびをボディー・リーディングに活用する方法を一つご紹介しよう。
この方法を使えば、あなたは他人が自分の話をきちんと聞いているかどうかをすばやく見抜くことができる。
まず相手の前で盛大にあくびをしてみよう。
もし相手もあくびをしたら、それは向こうがこちらの話をまじめに開いてくれている証拠だ。
すでにおわかりの通り、相手はあなたの話に集中するため脳に血液を送り込もうとしているのだから。
会社の面接や恋愛といった場ではあまりおすすめできない方法だが、日常生活の中で試してみると、とてもおもしろいのでぜひやってみてほしい。
ところで、先ほどのあくびの写真で実際にあくびが出てしまったあなた。
あなたは非常に共感力が高い人だといえる。
なにしろ写真の中の相手に対しても感情移入ができるのだから。
それは、とてもよいことだ!
【声の変化からも、本音は見抜ける】
ところで身体言語における「変化」は、姿勢や動作だけでなく声にも表れる。
声の調子を読み取ることも、ボディー・リーディングの一部である。
特に、相手がこちらの知らない言語で話している場合は。
言葉の通じない外国では、これがとても重要になる。
ときには同じ言語で話しているのに、まったくわかり合えないこともある。
そんなときこそ、声の調子やアクセントに耳を傾けてみるといい。
一つゲームに挑戦してみよう。
まず協力してくれるパートナーを探し、相手の正面に座る。
パートナーには、何も考えずリラックスしてもらうように言う。
この状態で、「隣の客はよく柿食う客だ」と声に出してはっきりと言ってもらおう。
このとき、相手の声の調子を注意して聞くこと。
ちなみに早口言葉ゲームではないので、スピードは相手の自由にしてもらって結構だ。
言い終えたら、次に「大嫌いな人」のことを考えてもらおう。
この人物について、できるだけ細かい部分まで思い浮かべるように指示する。
そしてその想像を続けながら、もう一度「隣の客はよく柿食う客だ」と言ってもらおう。
さて、先ほどと比べて声の調子に変化はあっただろうか?
その変化の程度は?
早口になったり、逆にゆっくりになってはいないか?
声に硬さや緊張感はあるか?
攻撃的な響きや悲しげなトーンを含んでいないか?
必ずどこかに違いがあるはずだ。
細かなニュアンスにまで注意を払ってほしい。
続いて、今度は「大好きな人」のことを強くイメーィしてもらおう。
その状態で再び「隣の客はよく柿食う客だ」と言ってもらう。
今度はどんな変化が見られるだろう?
あらゆる点に注目しよう。
最後は、先ほどイメージしてもらった「大嫌いな人」と「大好きな人」のうち、どちらか一方を思い浮かべて「隣の客はよく柿食う客だ」と言ってもらおう。
すると、あなた自身も驚くはずだ。
声の違いから、どちらを思い浮かべたか、きっと言い当てられる。
変化に気づくためには、その人の普段の行動パターンを知っておく必要がある。
いつもと違う行動が見られたときに初めて、その違いの意味を考えられるからだ。
専門家はこれを「ベースラインをつくる」と表現する。
つまり基準をはっきりさせることで、アクセントや姿勢の変化、それにあくびなど、普段と違う行動が見つけやすくなるわけだ。
変化を知覚できた時点で、あなたはボディー・リーダーとして大切な一歩を踏み出したことになる。
相手の身振りや表情の「変化」を知覚できたのだから。
次はいよいよ、その変化がどんな意味をもつのかを分析する段階に入っていく。
たとえば「相手が中指を立てた」など一目瞭然のケースもあれば、とても微妙で、正しく解釈するには経験が必要なケースもある。
しかも大事なのは他人のしぐさを読み解くことだけではない。
あなた自身の身体言語が「どう変化すると、どんな感情になるのか」を知っておかなければならない。
自らの「変化」を分析することも、他人の本音を見抜くことにつながるのだ。
↓ 参考書籍
コメント