【クオリティ・ダイエット】 健康的な体重管理とバランスの取れた食生活のヒント

食事・運動・仕事

正しい食事はアンチエイジングの最重要ポイントです。

適切な栄養を日々補給しなければ、身体機能はまともに働かず、やがて肌が衰えていきます。

つまり、「老化」を防ぐということです。

といっても、現代で「正しい食事法」を選ぶのは難しい作業でしょう。

アンチエイジングという観点から見れば、実は正しい食事法選びに悩む必要はなく、低糖質・ベジタリアン・肉食ダイエットといった異なる食事法を支持する学者や専門家たちのあいだでも、ほぼ全員が等しく賛成する「唯一のポイント」が存在するからです。

そのポイントをまとめてみました。

【カロリーの質を高める】

カロリーの量ではなくクオリティにこだわる食事法のことを「クオリティ・ダイエット」と言います。

ここ数十年の研究により、一流機関が食事の最重要ポイントとみなし始めて考え方です。

イェール大学予防医療研究センターが発表した、「もっとも健康にいいい食事法は決められるか?」というタイトルのレビュー論文を見てみると、アンチエイジングと食事に関する先行研究から質の高いデータ167件を集め、低糖質ダイエット、低脂肪ダイエット、ベジタリアン、バランス食、グルテンフリー(小麦などのグルテンを含む食品摂取を制限する方法)といった定番の健康食の効果をチェック。

その結果、いずれの食事法もそれぞれ明確な違いを強調するが、科学的な証拠をベースに考えると、どの手法もベースは重なり合っている。

本当に必要なのは、「カロリーの質」、質の高い食事こそが、唯一にして最高の食事法だと言える。

ハーバード大学が20年にわたって12万人以上を調べた研究では、体重の変化は「カロリーの質」ともっとも強く相関し、「食事を減らして運動量を増やす」といったダイエット指導は単純すぎて意味がないと指摘。

同じくハーバードが811人を2年間追跡したテストでも、低糖質や低脂肪などを気にしてもダイエットや体質改善に与える影響は少なく、最終的な違いをもたらすのは、「カロリーの質」だと結論づけました。

いまのところ大筋で、「カロリーの質」に反対する専門家はほぼいません。

世に出まわるすべての食事法は、いずれも「カロリーの質」という一点を押さえているからこそ意味があるのです。

【若返る食事の最大のポイント】

それでは「カロリーの質」とは、具体的にどのような食事法を意味するか?

先の研究をまとめると、「カロリーの質」が高い食品には、大きく4つの共通点があります。

・満足度:どれだけすばやく満腹感を与えてくれるか。

・栄養価:総カロリーのうち、どれだけ豊富にビタミンやミネラル、必須脂肪酸、必須アミノ酸が含まれているか。

・吸収性:摂取したカロリーが、どれだけのスピードで体脂肪に変わるか。

・効率性:摂取カロリーのうち、どれだけの量が体脂肪に変わるか。

できるだけ一食あたりの満足度と栄養価が高く、それでいて体脂肪になりにくい食品ほど「高品質」だというわけです。

この基準に沿って考えると、カロリーの質が高い食品のランキングは、おおよそですが次の通りになります。

1位:低糖質な野菜

ほうれん草、ブロッコリー、キャベツといった緑系の野菜は、カロリーの質がトップの食品群で、食物繊維のおかげで満腹感も得やすく、総カロリーあたりの栄養も豊富で、「4つの基準」をすべて満たしています。

2位:肉・魚・卵

肉類のタンパク質には満腹感を高める働きがあり、同時に必須脂肪やビタミンも得られ、緑系の野菜に比べると総カロリーあたりの満足度は低く、育成環境によって品質の差が大きいのがやや難点です。

3位:フルーツ・高糖質な野菜

サツマイモやカボチャのように糖質が多い野菜やフルーツはポリフェノールが豊富で満足度も問題ありませんが、糖質が多いぶんだけ総カロリーあたりの栄養価は下がってしまいます。

4位:乳製品

タンパク質やビタミンが多いというメリットはあるものの、総カロリーに対して糖質と脂肪が多いため、栄養価と満足度の面で評価が下がります。

5:油・脂肪

1gあたりのカロリーが多いので満足度が低く、体脂肪にも変わりやすいのが難点ですが、必須脂肪酸がないと体が機能しないので、絶対に摂取する必要があります。

6位:穀物全般

基本的にほぼ糖質なので、カロリーあたりの栄養価はどうしても低くなります。

7位:加工食品・精製糖

カロリーが多いのに栄養はなく、そのせいで満足感が得られにくい傾向があります。

以上のランキングを見て、「当然ではないか」と思われる方もいるでしょう。

ジャンクフードの悪影響や野菜のメリットは、過去に何度も言われてきたことであり、改めて主張することはないと思います。

神は細部に宿ります。

いかに良質な油を選ぶか?

いかに食材の質を落とさずに調理するか?

いかに肉や魚の有害物質を避けるか?

真にカロリーの質が高い食事とは、こういった細かなポイントの改善によって成り立つものです。

一見して常識のようなアドバイスでも、そこに小さな工夫と改善の積み重ねがなければ、全体として機能しません。

果たして、質の高い食事を実施するにはどうすればいいのでしょうか?

↓ 関連記事

ハマるとやめられない「超正常刺激」の正体 

ジャンクフードで老化が促進される

テレビを見ながら食べている「アレ」が最強に太る食べ物

【野菜を増やして、精製糖を減らす】

いつもの食事に、片手に乗るくらいの野菜かフルーツを足し、米は玄米にかえるか1食分を完全に減らすのが目安です(パンやパスタの場合は全粒粉に変更)。

砂糖や果糖ブドウ糖液糖が入った飲料が好きな人は、無糖のお茶がコーヒーに代えましょう。

甘味が欲しいときは、人工甘味料を使ったダイエット飲料を飲んでも構いません。

人工甘味料と聞くと、人体への悪影響が気になるかもしれませんが、大規模なメタ分析ではこれといった問題は確認されていません。

人工甘味料を、おすすめするわけではないものの「クオリティのちょい足し」は、まず砂糖や果糖ブドウ糖液糖の削減を優先してください。

【生で食べられる野菜・緑が濃い野菜はカロリーの質も高い】

先に述べたように、質の高い食材のトップは「低糖質な野菜」です。

そのため、炭水化物のおもな摂取源も「低糖質な野菜」を選ぶのが基本となります。

カロリーの質が高い野菜を選ぶ際は、ざっくりですが2つの基準で判断してください。

・生でも食べられるかどうか?

・緑が濃いかどうか?

キャベツ・レタス・ケールなど、そのまま口にできる野菜はカロリーの質が高く、ジャガイモ・コーン・ゴボウ・サツマイモ・カボチャ・穀類・豆類のように生で食べづらい野菜は1食あたりのビタミンやミネラルが少ない傾向があります。

他には、ほうれん草・ブロッコリー・モロヘイヤ・ケール・明日葉(あしたば)などの緑色が濃い野菜もカロリーの質が高い傾向があります。

【フルーツは、ベリー類・シトラス系のものをとる】

フルーツも優秀な炭水化物の摂取源のひとつです。

カロリーの質が高いフルーツを選ぶ基準も大きく2つあります。

・カロリーあたりの糖質量が少ない。

・自然の状態に近ければ近いほど良い。

といった条件を満たすものほど高品質と考えられています

この観点からみると、ベリー類(ブルーベリーやイチゴ)及び、シトラス系(ミカンやグレープフルーツ)の2つが、カロリーの質が高いフルーツの代表例といえます。

どちらも、ビタミンやフィトケミカルが豊富なので、積極的に取り入れるといいでしょう。

【野菜は、生で食べるべきか?調理するべきか?】

結論からいうと、これは悩んでも意味がなく、調理による食材の反応は複雑すぎて、すべての栄養を活かした食べ方などあり得ないからです。

いくつかの例をあげると

・トマトに豊富なビタミンCは水と熱によって簡単に失われるが、リコピンという抗酸化物質は加熱で増加する。

・ブロッコリーの抗酸化成分であるスルフォラファンは熱で壊れるが、インドールのような抗がん物質は加熱で生成される。

・生野菜の食物繊維のほうが腸内細菌が増えやすいが、一方、加熱された食物繊維は善玉菌と悪玉菌のバランスを整える働きを持つ。

このように、あちらが立てばこちらが立たずの状況です。

「生か調理か」の二択で悩んでも答えは出ないので、今のところは2つの食べ方をバランスよく行うのがベストです。

【肉と魚を正しく食べる】

炭水化物の次は、タンパク質です。

細胞やDNAの修復に欠かせない栄養素であり、当然ながらアンチエイジングには必須です。

まずは、食材の選び方から。

カロリーの質が高いタンパク質には、次の特徴があります。

・カロリーあたりのタンパク質、およびビタミンやミネラルが多い。

・「プロトックス」を起こす量が少ない。

ひとつめのポイントはいうまでもなく、100kcalあたり10~20gのタンパク質を含む食品があれば、当然ながら優秀だと判断しても構いません。

ふたつめの「プロトックス」は耳慣れない言葉ですが、これは「酸化したタンパク質」を意味する用語で、関節炎やアルツハイマーなどの発症に中心的な役割を果たしています。

鉄がサビるのと同じようにタンパク質も酸素で劣化し、そのせいで人体に悪影響を及ぼすのです。

これらの観点から、カロリーの質が高いタンパク源のランキングは次のようになります。

1位:卵白

タンパク質が90%と多く、脂質や鉄分がふくまれておらず、普段は卵の殻に守られているおかげで酸化が起きにくい優良食材です。

2位:鶏のむね肉(皮なし)

タンパク質量80%で、牛や豚などと比べるとヘム鉄と脂質が少ないため、酸化しづらい性質がありますが、一部の鶏肉は育成の段階で抗生物質が多用されていることが多いのが難点で、アレルギー体質の方などは抗生物質フリーの商品を選ぶように気をつけましょう。

3位:魚介類

タンパク質量には50~94%のばらつきがあり、魚介に含まれるオメガ3脂肪酸はとても酸化ダメージを受けやすい成分です、タンパク源として魚介を選ぶときは、カワハギ・タラ・カジキ・キス・シーチキンの水煮のような、できるだけ脂質の少ない魚を選んでください。

オメガ3脂肪酸そのものは体内の炎症を抑えてくれる優秀な成分なので、サバやカツオのような脂質の多い魚でも、新鮮に食べられる限りは積極的に摂取してください。

4位:カッテージチーズ

タンパク質量は60~80%。脂質と鉄分が少ないためそれほど酸化はおきませんが、製造の過程で高温殺菌された場合は、スーパーの棚に並んだ時点である程度の酸化が進んでいる可能性があります。できるだけ低温で加工されたものを選びましょう。

5位:牛肉・豚肉・羊肉

タンパク質量は50~75%で、鉄分のほかにもミオグロビンという酸化を促進する物質を多く含みます。これらの肉は脂身が多いものほど酸化が進みやすいため、できるだけ低脂肪なものを摂取するように心がけてください。

佐藤さん

ただし、「コレステロール値が高い」など、持病のある方は医師の指示が必要となります。参考までに「卵は1週間に6個まで?」も読んで見てください。

【タンパク源はハーブやスパイスとセットで食べる】

プロトックス(タンパク質の酸化)を防ぐ手段として、ハーブやスパイスを使う方法があります。

ある実験で、バーガーのパテにいろいろなスパイスを振って経過を観察したところ、スパイスを使わなかった肉は8日目ぐらいから急激に酸化が進んだのに対し、スパイスを使った場合は12日目にもほぼ同じレベルを保っていました。

保存期間が長くなればなるほど、スパイスのメリットは大きいようです。

↓ ポロトックス(タンパク質の酸化)を防いでくれるハーブとスパイス

ローズヒップ・オニオンパウダー・ガーリック・クローブ・シナモン・オレガノ・ローズマリー・ジンジャー・ブラックペッパー・バジル・ミント全般・ターメリック

【タンパク源はマリネで食べる】

ハーブやスパイスと並んで、マリネも「プロトックス対策」に使えます。

マリネといえば通常は素材の風味付けや食感を柔らかくするために使いますが、実はアンチエイジングにも効果は絶大です。

牛肉を1時間ほどマリネ液に漬け込むと、それだけでAGEsの量が50%も減ることがわかっています。

AGEsとは、糖やアミノ酸が酸化してできる物質で、体内で炎症を起こす作用が大きいため、 AGEs が溜まると糖尿病リスクが上がったり、骨や血管がもろくなったりといった問題を起こします。

マリネ液がAGEsに効くのは、タンパク質を適度に分解し、糖を酸化しづらい状態に変えてくれるからです。

お酢・レモン汁・白ワインビネガー・トマトジュースなど、酸性の液体なら何を使っても構いません。

さらに、マリネには高温で調理した肉に発生する「ヘテロサイクリックアミン(HCA)」という発がん性の物質を減らす効果もあります。

ある実験では、酸性の液体にひたした肉からはHCAが9割以上も減っており、こちらも注目すべきポイントでしょう。

【肉や魚の高温調理は避ける】

カロリーの質が高い肉や魚を食べるにあたり、もっとも気にして欲しいのが「高温調理」の問題です。

タンパク質の酸化は60度以上の熱を加えたところから始まり、200度を超えるとHCAやPAHsといった発がん性物質が激増するからです。

バーベキューや揚げ物といった調理法は、アンチエイジングの観点からすれば残念ながらNGで、月に2~3回の楽しみぐらいにしておくのがいいでしょう。

また、肉を調理する際は次のポイントに注意してください。

・できるだけ脂肪が少ない肉を選ぶ

肉の脂には、発がん性物質のPAHsが出やすい性質があり、赤身の多い肉を選ぶか、調理前に脂身はできるだけ取り除いてください。

・焼く前に細かく切る

加熱の時間が長くなるほどタンパク質は酸化を起こし、事前に肉を細かく切っておき、調理時間を短くするといいでしょう。

・真空低温調理をする。

肉の料理法としてもっとも優秀なのは、「真空低温調理」で、密閉した肉をじっくり火を通すため、酸化を起こしにくく、鶏むね肉でもしっとり仕上がるのが利点です。

↓ おすすめ低温調理機

【加工肉はできるだけ減らす】

高温調理と並んで気をつけて欲しいのが加工肉です。

ハム・ソーセージ・ベーコン・サラミのように加工処理をした肉製品のことで、成型肉や牛脂を肉に注入した食品も含まれます。

加工肉の悪影響を示唆したデータは多く、「加工肉を1日50g食べ続けると、結腸直腸がんのリスクが18%増える」、また「加工肉を食べる人は心疾患や炎症リスクが7%増える」と言われています。

厚生労働省の調査によれば、日本人の加工肉の摂取量は1日13gなので、よほどのハム好きやソーセージが好きな方でない限り、許容範囲なので、現状を維持していただければ問題ないかと思われます。

ただ、加工肉はリスクが高いという認識だけは忘れないでください。

↓ 関連記事

塩分の罠!日本食の隠れたカロリー爆弾

「夜食べると太る」は嘘です・・・

ダイエット成功者は食事で痩せている!

↓ 参考書籍

コメント