【創造の鍵】 いま何がないかより、いま何があるかで発想しよう。

心理・思考・時間

最も欲望の少ない者が最も豊かな者である。ー ローマの喜劇作家プブリリウス

最近、著者の病院を訪れる患者さんの中に「ほしいものは絶対に手に入る」と信じ込んでおり、手に入らないと「相手が悪い」「社会が悪い」と攻撃するケースが増えているそうです。

社会問題の一つにもなっているドメスティック・バイオレンスの原因も、多くは欲求をコントロールできないイライラの暴発である。

人生はできるだけ思いどおりにいかないほうがいい。

著者はむしろそう思っている。

思いどおりにいかないからこそ、他の方法はないかと工夫を凝らすのだし、その場は思いとどまる抑制の訓練もできる。

工夫や抑制の結果、望みをかなえる好機に出会い、一気に願望か実現するそのうれしさといっら・・・

われわれの子ども時代は、いくらほしがったところで、モノがなかった。

だから、手元にあるものに自分なりに手を加えたり、想像力を羽ばたかせて遊んだものだ。

笹舟をつくって川に流して競争したり、川原で石投げをして遊んだりした。

女の子は笹の芽を編んで食器にし、アカマンマの花を摘んで赤飯に見立てて遊ぶなど、いま考えるとなんとゆかしい遊び方だったろう。

いまのように、ハンカチが洗える本物そっくりの電気製品でままごとをしたり、ラジコンの船で遊ぶのもいい。

だが、そこには心を自由に羽ばたかせる余地がないのが残念だ。

物体が浮遊する原理を発見したアメリカのライト兄弟が飛行機を発明するより早くのが日本人であることは案外知られていない。

飛べるのは羽ばたくからではない、翼で空気抵抗をつくり、その抵抗力によって浮き上がるのだ。

この浮遊原理を見いだしたのは、二宮忠八という明治の日本人だ。

この原理に基づいて浮遊させた物体に動力をつければ飛行機ができる。

実際に二宮忠八が模型飛行機を飛ばしてみせたのは1891年のことであり、1903年のライト兄弟の人類初の飛行実験より12年も前だった。

忠八か浮遊原理のヒントを得たのは、川原で平たい石を投げ、水面をピョンピョンとはねるように飛ばせる飛び石の遊びからだったという。

羽かないものがなぜ、空中に浮かぶのか。

こうした素朴な疑問をもち、注意深く観察した結果、忠八は大発見に行きついたのだ。

佐藤さん

大人になって、働き出しても「他人のせい」にする、言い訳をする人がたくさんいます。真摯に受け入れることができず、他人のせいにして「自分は悪くない」と思い込ませる、言い聞かせて「安心」を得る・・・本当に大人なの?「学び」はないの?と、残念に思う人が多々いますよね。大丈夫なの?日本人?

君の心の庭に辛抱を植えたまえ。その根は苦いが、実は甘い ー イギリスの詩人 W・H・オーデン

戦争中は・・・といっても、若い人たちに実感は湧くまい。

だが、著者は、あの戦争のおかげでいろいろな得がたい体験をした。

戦争はむろんいやだが、戦争体験はむしろありがたいとさえ思っている。

なにしろ、この私が軍隊から帰ってきたときは一三貰(50キロ弱)。

いくらダイエットしても届かない夢の体重(?)である。

と、これはまあ冗談にしても、戦争中は、食べるもののありがたみを骨の髄まで知ることができた。

やせたイモでも、天下の美味に思えたものだ。

飽食時代のグルメなど及びもつかない至福の味であった。

子どもたちがまた幼いころ、わが家には「空襲記念日」という行事があった。

妻が言いだしたのだが、これはなかなかの名案だったと今も家内に喝采を贈っている。

著者が育った青山脳病院と隣接する自宅は、昭和20年5月25日のアメリカによる東京大空襲で全焼し、わが家は何もかも失なってしまった。

著者は兵隊に行っていたので知らないが、東京中が生き地獄だったという。

わが家は何もかもなくしたその中から立ち上がり、今日がある。

その原点をぜひ子どもたちに教えたいというのだ。

空襲記念日の5月25日には、電気を最小限度の明るさにする。

当時は、光が外にもれないように電球を黒い布で覆わなければならなかったからだ。

食事はすいとん。

野菜屑を浮かせた汁に、うどん粉を練ってだんご状に丸めたものを入れて煮たものだ。

まあ、子どもたちに食べさせたすいとんは鳥ガラなどでスープをとり、戦争中とは比べものにならないくらいおいしいものだったのだが。

親子ですいとんをすすりながら、戦争中の話をあれこれ聞かせた。

こうした語り伝えも、子どもの想像力をさまざまに刺激する一つの方法だと思ったものだ。

佐藤さん

現代は「物」が溢れている時代です。「高価なブランド品」「限定品」など、特に日本人は好きなそうです。食べ物にしても試行錯誤を重ねた美味しいモノなど「映え」を意識したモノが溢れていますね。私も「戦争」とは無縁の時代の人間なので、もし「戦争」が起きたら・・・想像もつきません。著者の経験から少しでも「学び」を得られれば幸いです。

↓ 参考書籍

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