【相手を理解しない人は理解してもらえない】
第5の習慣は「まず理解に徹し、そして理解される」。
家族、恋人そして友人に、自分のことを理解してもらいたいという気持ちがあるのに、そのことに成功している人は少ない。
それは、自分の言いたい気持ちが先走り、相手のことを理解しようという姿勢が足りないから。
「わかってくれない相手が悪い」と責める前に、自分自身を振り返ろう。
相手も同じことを思っているかもしれない。
交渉術や会話術のようなテクニックを使って会話をすると、相手は「自分を操ろうとしている」と感じて身構える。
また、言うことが毎回違っていたり、気分屋で態度に一貫性がないような人に本当の気持ちを打ち明けたいとは、あまり人は思わない。
自分本位の発信をやめ、相手のペースに合わせる努力をしよう。
相手を理解することに徹すれば、やがて相手は自分の言葉にも耳を傾けてくれるようになる。
コミュニケーションには、読む・書く・話す・聞くがある。
このうち、聞くことがもっとも重要なスキルだと、コヴィーはいう。
だが、開く練習をしたり、訓練を受けたことのある人は非常に少ない。
そのため、興味のあることなら注意深く開くが、興味がないと話の一部だけを選択的に聞いてしまう人が多い。
「うんうん」とあいづちだけを打って聞くふりをしたり、ー人の話を無視する人さえいる。
【winーWinのために聴く】
winーWinの関係を築くには、話の聞き方の段階のうち、最高レベルのスキルが必要になる。
それは、「共感による傾聴」というスキルだ。
共感による傾聴とは、相手の目線で話を聞き、心の底から誠意を持って相手を理解しようとすること。
相手が「何を言ったか」ではなく、「どう感じたか」に耳を傾けるのだ。
共感による傾聴は、時間がかかると感じる人も多い。
だが、心の声を聴くために使った時間は、信頼という大きなメリットをもたらす。
人の話に耳を傾けるときは、「話したい」という欲望をできるだけ自制しよう。
【4段階の聞き方で相手を深く理解する】
コヴィーは、第5の習慣のためには大きなパラダイムシフト(価値観の転換)が必要だ、という。
それは「自叙伝的反応」から「心の底から理解しようという聞き方」への転換だ。
「自叙伝的反応」とは、人の話を自分の経験で解釈したり、評価しようとする聞き方。
自分の人生の物語(自叙伝)を参照しながら、人の話を聞いてしまう態度のことだ。
自叙伝的反応で聞く人は、人が悩みを打ち明けると、つい「私もそうだったから、君もこうしなよ」と自分語りを始めてアドバイスをする。
これだと「相談に乗ってあげた」と自分は満足できるが、肝心の相手は「私の話を聞いてくれた」と感じない。
「私のいまの気持ちを分かち合ってくれた」とはとても思えないからだ。
共感による傾聴は、単なるテクニックではない。
心から相手を理解したいという誠意がないなら、やらない方がいい。
上辺だけの傾聴(もどき)は、相手を傷つけ、人間関係に最悪の結果をもたらす。
【共感による傾聴で相手の心を開く】
コヴィーは、共感による傾聴の上達のために、4つのステップを紹介している。
第1段階:話の中身(キーワード)を繰り返す。
これにより、話の内容を考えながら聞くようになる。
第2段階:話の内容を自分の言葉に置き換えて言い直す。
これにより、話の内容を考えながら聞くようになる。
第3段階:「つらいね」「楽しいね」など相手の感情を自分の言葉で置き換えるあいづちを打つ。
これにより、相手の言葉よりも相手の感情に注意して聞くようになる。
第4段階:第2、第3段階を同時に行う。
この段階で初めて相手は心を開き、信頼感が生まれる。
繰り返すが、こうしたスキルを使った傾聴は、「相手を理解したい」という誠意があってこそ意味がある。
そこをよく踏まえて、4段階を練習しよう。
↓ 参考書籍
コメント